ちょっくら世界を救いに来ただけ

「―――なっ!?」

「だいじょーぶー?正義の味方さん達?」

「【ライフメーカー悪の組織】…!?何でここに!?」

「何をしに来たの…。…まさか弱っている私達を狙って―――」

 回復、速いね。スカイレイン。再変身はまだ無理そうだけど…。

 立って歩いて話せるくらいには回復したんだ。

「いやいやないない。私―――ボクはそんなことしないよ。…知ってる?悪役ってねぇ、正義のヒーローが居なきゃなーんにもできないんだよ?だから、ちょっくら世界を救いに来ただけ」

「…できるの?」

「にゅふふ、だいじょーぶ。多分だけどねー。…さて、じゃあ始めようか。正義も悪も、意味も意義も理由も無い戦いを。―――知ってる?聖戦ってね、醜いんだよ?にゅふふ」

 そう言ってボクはベルティナへと駆け出していく。

「無駄だ。私を倒したとて、【絶版の宣告ブレシングコア】は止められんぞ」

「そう?興味にゃーい。ボクは皆を助けるわけじゃない。生憎、ボクは力意外に取柄がにゃいからね。人類を助けるのは【レインズ魔法少女】の仕事。ボクは世界を救うだけ。にゃんてにゃ、にゅふふ」

 ベルティナが持つ剣から繰り出される攻撃を軽くいなしながら、【絶版の宣告ブレシングコア】とかいう例の赤いコアみたいなのとそれの付属品の破壊方法を考える。

 うーん。力任せで壊すのも悪くはにゃいけど…面白みに欠けるんだよにゃー。

 …そうだ、良い事思いついた。にゅふふ。

「―――もらった!」

「にゅやー」

 ベルティナの攻撃をわざと受けて、地面に転がりながら【変身メタモルフォーシス】を解除する。

「さぁ…賭けの始まり…命、一発賭けてみよっかぁ…!にゅふふ~!」

絶版の宣告ブレシングコア】から放たれる光線が私に迫る。

 再変身可能まで…あと5秒!

「よん……さぁん……にぃ……いぃち―――――!」



「―――ふむ、やはりこんなものか」

 さっきまで【ライフメーカー悪の組織】の幹部が立っていた場所には、瓦礫のみで彼女の姿はなかった。

「あ…あぁ…」

ライフメーカー悪の組織】とは言え、私達を守ってくれたのもまた事実。

 あの光線を耐えた彼女の姿が無い…つまり、やられ―――。


「さて、次は君たちの番だ、【レインズ魔法少女―――】」

 その時、轟音と共に【絶版の宣告ブレシングコア】が爆炎を上げて崩れ落ちる。

「なにっ!?」


「にゅふふ、どうかにゃ?殺ったと思った相手に自分の最終兵器が壊されるのは?にゅふふ」



 いにゃー、危ない危ない。あと0.006秒くらい遅れてたら死んでたかもね。

「で?どうどう?気分はいかが?How are you?ねーねー、シカトー?それともぉ~、悔しくて言葉も出ないぃ~?ざぁこざぁこ♪」

 …自分で言うのもなんだけどムカつくわこのキャラ。

「…ま、冗談はほどほどにして。【レインズ魔法少女】、【絶版の宣告ブレシングコア】は壊したから、ベルティナは任せたよ~それじゃね~」




「あっ―――ちょっと待ちなさ―――」

 残念だけど待たないよー。早く帰ってア〇プラで溜まってたアニメ消化するからねー。にゅふふ。

 どこぞのフォール○○○○ナントカさんから早くア〇プラの席を奪還しにゃいと。にゅふふ。

「待ちなさいっ!」

 サンレインが私の手首を掴む。

「ボク?ボクはただの悪役だよ?世界を救う、ただの悪役。にゅふふ」

 まあ、世界を救うかどうかは気分次第だけどね。にゅふふ。

「そういうわけだから、ちゃちゃっと離してくれにゃい?」

「―――離す訳ないでしょう?私達を守ってくれたとは言え、【ライフメーカー悪の組織】の幹部なのだから」

「…にゅえ?…あ!あ~」

「…まさか忘れてたの?」

「にゅや?まあね。ボクにとって【ライフメーカー悪の組織】だとか【レインズ魔法少女】だとかどうでも良いしにゃあ」

 ボクはボクが楽しく暮らせればそれでいいんにゃから。

「…随分いい加減な組織なのね」

「ボク以外は比較的まともだよ。そう言うわけだから、また会おうね、にゅふふ」

 サンレインの手を振りほどいて、全力ダッシュで【ライフメーカー悪の組織】のアジトに向かう。




「たっだいまー」

「こら!何してるの!」

「にゅえ?にゃにが?」

「『にゃにが?』じゃないわよ!せっかく【レインズ魔法少女】を倒すチャンスだというのに…貴女と言う人は…!」

「にゅー」

 頬引っ張らないでぇー、痛いからぁー。

「…はぁ、全く。そんなのじゃいつまで経っても【あの方】に気に入られませんよ?」

 にゅ~。私としては早くその手に持ってるリモコンが欲しいんだけどなー。

「貴女、さっきからどこを見て―――あっ」

「フォシちゃぁん。まさかとは思うけどぉ、私を仕事に連れ出しておいてその隙にアニメ見てたとかぁ…にゃいよね?」

「そ、そそそそんなわけ、あああるわけなひじゃにゃい!!!」

「ほんとかなー?」

 フォシちゃぁん、目が泳いでるよぉー?

「正直に言って楽になろうよぉー」

「う…」

「見たっていえば楽になれるよぉー?」

「み…み、み…」

「み?」

「見たわよ!えぇ見ましたとも!何か悪い!?」

 開き直った。

「自分が受けた仕事を他に押し付けてぇ、自分はアニメ見てるとかぁ、良くないと思いまぁーす」

「うっ…」


「ね、ねぇ…」

「どったのフォシちゃん?」

「正座…もうやめて良い?足が痺れてきたのだけど…」

「にゅにゅー、反省した?」

「し、したわよ!」

「本当にー?正直に言ってごらん?」

「う…もうちょっと正座してます…」

「にゅむ。よろしい。にゅふふ」


――――――――

作者's つぶやき:なんだか、【ライフメーカー悪の組織】って楽しそうですね。

意外とにゅやちゃん(仮名)が楽しそうですねぇ…。

ライフメーカー悪の組織】と【レインズ魔法少女】、皆さんならどっちになりたいですか?

レインズ魔法少女】はこう…にゅやちゃん(仮名)が居ないといつかマミられそうですね。

――――――――

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世界を救うヒーロー(悪役)【にゅふふ】-2話完結- ますぱにーず/ユース @uminori00

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