負への挑戦
釣ール
尊重されない力
なぜ人間は見た目ばかりで決めつけるのだろう。
ぼんやりと授業中、窓をみつめ二匹で飛ぶモンシロチョウをながめながら
十九歳になった歳上の友人、
もう成人だが大学生として楽しくやっているらしいことをSNSで聞いて椎名もはやく大学生になりたいと勉強を続ける。
続けてプロになったのは椎名だけで
椎名は彼のそんな
椎名は見事にバトルジャンキーになってしまい、試合がないと勉強をやろうとも思えなかった。
女子との恋愛もあるにはあったが総合格闘家のイケメンにだんだん
大手のジムに移籍してからずっと格闘技漬けらしくあまり戦いたがらない弟ではつまらないからか
高校生活を送っていても思ったよりプロ格闘家でいることに
目つきもプロになって変わってからか『コワモテだね』とうれしくないほめ言葉を笑顔で高校の友人に言われて反応に困っていても武力としてではなく、そばにいるだけでたよられるというのは気分が良かった。
蕎極みたいな綺麗に割れた腹筋にひとめみて分かる鍛えられた胸と背中の筋肉は健康第一のディストピア思考の現代だからではなく、長い間
だが高校生活最後の年だから椎名もうんざりすることがある。
やはり目に見える力は他の人間からはステータスのひとつとして欲しがられていることだ。
そんなにいいものじゃないのに。
身を守る以上の力を手に入れた後の苦悩をつい激安レストランで友達と食べる時にいいそうになるのを別の話題にしてごまかす毎日とプロで試合をしながらSNSと他選手に
そして蕎極が大学生としてバイトや単位を取りながら将来の夢を持ち、格闘家ではなくなっても運動まで続ける姿を待ち合わせてから遊び語る時に見てリフレッシュしている時に兄の杵荒が現れて攻撃してくるのを椎名がとめることもあった。
「試合に負けたからって腹いせか!それがはたち超えた人間のやることかよ」
「お前も強さをもとめて移籍したガキだろ?似たような
馬鹿にされたくないからとボキャブラリーを増やしただけのことはある元憧れの人であるファイター。
やはり言うことが違う。
だが納得は出来ない。
あんたの方が攻撃は耐えられるだろう?
あんたの方が強いのだろう?
なら、なら優しくしてくれよ!
いつも蕎極に変わって椎名が主張する。
その友人関係はおたがいがのぞんだものだ。
しかし大学生になった蕎極と高校三年生になった椎名はもう考え方も行動も変わった。
「蕎極。ここで兄貴とはケリをつけよう。いつまでも力と顔の良さが一番の幸せだと思ってるあんなやつにいい気にさせたくない。」
蕎極の主張を無視した椎名のエゴがついに本音として彼にはいてしまった。
少しだけだまる彼は椎名へ瓶ジュースを渡した。
「別にいいよ。多分
否定はされなかった。
ひとり立ちした十九歳男性の一意見。
だが今は杵荒と同階級。
ここで復讐を果たしたい。
自分たちに
うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
夢中でサンドバッグをなぐり、技術を学び、高校生活を進学目指してハードスケジュールをこなす。
杵荒は格闘技に時間をささげられるからいくら椎名でも勝ち目はない。
だが勝たねばならぬ試合を勝たないで得られない日常があるなら、ひよってないで勝ちにいきたい!
椎名は金でも承認欲求でもない単純な幸せのために、たまたま組まれた路馬朶杵荒とのマッチメイクで復讐を果たすことを誓う。
減量も終わり、会見では特に話すことはしなかったためファンや初めての人から見ればただの若手の成長を見守る元同門の勝負でしかない。
もう言葉はいらなかった。
リングの上にとうとう経つことになる。
憧れの人で高校生活最後の最大の敵。
野生児とリアリストの立ち技勝負はゴングと共にはじまった。
様子見のローキックになれたボクシングキックとたがいに見せたことがない技術と力の駆け引きに殺意。
二人は笑いあった。
まるで杵荒は自分が超えるべき壁になった
一方椎名は思ったよりも冷静だった。
今までのしごきを……杵荒!あんたを超えることで証明する!!
そして杵荒も強豪と引退するまで戦い続け王者を目指す道を選んだのだから言わないだけで覚悟は想像以上かもしれない。
だから。
『『ここでしねぇぇぇぇぇ!!』』
声にならない本音がつながった気がした時はクロスカウンターで二人はリングに倒れる。
気がつけばラウンドも
これまでにたがいにダウンはない。
勝敗は延長なしのドローと現実は二人のシチュエーションを無視して残酷なままだった。
それから二人に会話はなく、手当が終わって挨拶をしたあとに会場を出ようとさっさと行動していると蕎極がさっそく声をかけてくれた。
「あんなに頼もしくなっていたなんて正直思ってなかった。あんまり歳上の友達らしくしてこなかったことを後悔してる」
そんな言葉を聞いても笑顔で蕎極の肩をたたいて応援団よりもまっさきに心配してくれた彼に椎名は初めて格闘技をやって良かったと思うことが出来た。
「もうらしさとかそんな時代じゃない。結果は残酷だったけれどまだ杵荒には負けてない。勉強も格闘技もしっかりやって
もうそんな機会はないかもしれない。
だがこれで目標が出来た。
次がないなら別の形で夢を叶え、次があるのなら次こそ成果で椎名達の生活が重いことを証明する。
言語化の時代にコンタクトスポーツ……つまり肉体言語で人生を証明なんて馬鹿げてるからこそやる意味があるのかもしれない。
二人は握手をかわし、自分たちが両立させている暮らしを大切にしようとそれなら二日後に飯を食いに行った。
つぎのチャンスを
負への挑戦 釣ール @pixixy1O
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