斯くも理不尽な、『彼』と『彼女』の事象。

ジャッジャッ…ジャッ土手に小石を踏む
その音が何処までも憑いてくる。宵闇に
沈む小路に、姐さん被りの一団が
ゆら、ゆらと舞う手が異界への道標の如く
仄白く路地で咲いている。
ずり…ずり……ずり深夜の寝室で布団の
周りを這いずる音。

怪異譚を聞くと、憑いて来られる主人公。
そして何やらの因縁に導かれて出会った、
死んだかつてのクラスメイトの双子の姉で
『神様』を祀る祓い屋の女。

彼等の邂逅は、利害一致。

怪異を払って欲しい『彼』と怪異が欲しい
『彼女』の事情。持ちつ持たれつの不穏な
関係は、更なる怪異を呼び寄せる。

これは三河国は瑞神市での不思議な物語。
随所に細やかな和の美しさが光る
ワクワクドキドキのバディもの。
一体、彼等はどんな怪異に出遭うのか。
そして彼女が祀る『神様』とは。

今後の行方に、目が離せない。