第3話 ボレロ その2

いたいけな心の溝に入り込んだ、小さなシミのような、心の荒れ模様に、久しく詰んだ感じの僕の小心者のスケールは、きっと抗いにも似た葛藤のようなもがきを感じていた。

事実もへったくれもないないように、うけまどう気持ちのへたりように、心底滅入っていた。どうしても彼女が忘れられないのだ。

 いかにしても、時間が左右して、僕の気持ちを洗いざらいすっきりさせてくれない。飲んだくれたように、ひとしおの感情の高ぶりが、急激に冷めていくことの、一介の躊躇に似た、僕の彼女に対する遠巻きな隔たりが

いらぬ妄想のように、頭の隅のほうまで、沸き立ってくるのだ。では、実際のところ、彼女の見に何が起こったのか?接触をしたことのない僕にはどうにもあがき様がない。

 「この感情は何だろう 無性に腹立つんだよ自分を押し殺したはずなのに

馬鹿げた仕事を終え 環状線で家路を辿る車の中で全部おりたい 寝転んでたい

そうぼやきながら 今日が行き過ぎる」

 簡単なてほどきでいい、ことの事実を知りたかった。そんなことを思い続けた、僕は若干ノイローゼ気味だった。そこで、例のスーパーマーケットにはりこんだのだった。やはりいつもの何時かに彼女は現れたのだった。

 やはり、暗く冴えない顔は相変わらずだった。思いっ切って彼女に声をかけようと思って、戸惑った。どうやって声をかければいいんだ・・・?とにもかくにも、正直にすべてを打ち明けるしかないと思った。初めてみたときから、一目ぼれ状態であること。一回目の印象と今の印象に違いが見えて、気が気ではないことを。しかし、幾分にもここはたくさんの人がいて、ごちゃごちゃしていて、誤解を招かないように、自分の気持ちを打ち明けるには、適していない。そこで、彼女を尾行することにした。一瞬自分に戸惑いが来て

、罪悪感に自分が萎えそうになったが、この胸の内のもやもやを何とかするには、こうするしかなかった。彼女の自転車を必死にかつ

バレないように追いかけた。いくつかのコーナを抜けて、あるアパートにたどり着いた。ちゃっかりと号室まで、覚えた僕は、慌てて道筋を元に戻って、いつもの帰路についた。あそこなら、大丈夫、友人の一人が住んでいるアパートだ。僕は密かに思った。策がある。彼女を何とか、ゆっくり話せる所におびき出そう・・。それには、手紙がいい。そっと、彼女のアパートに投かんするのだ。

「はじめまして。正直に言います。あなたが好きになってしまいました。とあるスーパーマーケットでお見かけした時からです。是非一度、お話しする機会が欲しくて、この手紙を書きました。お話だけでいいんです。また、

お手紙します。近所の大学生Sより」

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俺の前世は弱虫だった恋愛ストーリー MR.CHILDRENの歌に乗せて 竹内昴 @tomo-korn

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