白昼に見たそれは。

 薄月夜の波間に思い出す、あの時に見た悍ましいもの。何処か物憂げな主人公は、昼間に見たそれに、僅かに己を重ね合わせます。
 それは、もしかしたら……。

 どこか詩的であり、背をそろりと撫でられるような恐ろしさをも伴う、夢現を揺蕩う掌編です。



 この掌編は、一つの話として十分な力がありますが、この主人公の身上をお知りになりたいと思われたら、同作者様の『猫魔岬變』をお読みになってみて下さい。