第23話 最終話


「俺は……沙織だけだ。沙織だけを愛している💘💛」


「本当に……本当に……私だけを愛してくれるのね?嬉しい💖💗💞……」

 

 イケメン俳優の島崎健斗は19歳で戦隊シリーズの「ウルトラマンパワー」で主演の座を獲得して芸能界入りを果たした超イケメン俳優だ。身長184㎝に容姿は定規で測ったような端正なマスク。日本の至宝と持て囃されて久しい超イケメンにして私立の雄K大学を今年の春に卒業したばかりのエリート。


 沙織(HINATA)が夢中になるのも分かる。だが付き合いだして分かった事だが、健斗は女にだらしなく沙織に近づいた目的も、超売れっ子漫画家にして脚本も手掛ける兄陸だが、更に映画監督にも挑戦するつもりらしい。それなので、口をきいてもらい主役の座をゲットする為に近づいたのだ。


 

 沙織が「マリンモンスター」でデビューを果たしたその時に、妙に馴れ馴れしく近づいてきた男がいた。そう「ウルトラマンパワー」でデビューした健斗だった。

 

 事務所も仕事現場も違う2人だったが、例えば友達と日帰り旅行に出掛けると沙織が言っていると、いつの間にか旅行者の輪の中にいるし、チョットした食事会の席にも、どういう訳かチャッカリ顔を出している健斗。


 女性にモテモテの健斗は女友達も多く、沙織と知り合いの女優やアイドルも多く知っていた。こうして……沙織の行く先々に顔を出すようになった健斗の狙いは、陸先生とお近づきになる事だった。


 こんな経緯で沙織は健斗と交際を始めた。


 それでは兄との関係は断ち切れたのだろうか?


 実は……沙織が健斗との交際を始めたのには訳があった。沙織は母陽子から陸との関係を強く反対され拒絶され困り果てていたが、その関係を断ち切るために健斗との交際をスタートさせた。


 だが、付き合いだして分かった事だが、健斗は主役の座が欲しくて沙織に近づいた事が分かり嫌気がさしてしまった。


「お兄さんは脚本も手掛けているだろう。お兄さんに僕のことをプッシュして貰えないかなあ?」


「良いけど……」とこのような方法で沙織を利用して来る。沙織はこんな健斗が嫌になってしまった。確かにイケメンで、演技にも益々磨きがかかった優等生かも知れないが、女性関係が後を絶たない自己中で自分の出世の事しか考えない健斗がつくづく嫌になってしまった。


 ★☆

 事件の経緯

 ⭐早川葵の場合

 田宮漫画事務所での刑事2人と陸の会話。


「死亡時刻とされる2日前4月2日の夜6時から11時は、どこにいはりましたか?」


「あの日は桜見物で嵐山に行きました。そこに殺害された早川葵さん、妹沙織(HINATA)、天才子役前田花音ちゃん6歳と花音ちゃんの両親も同席していらっしゃいました。妹HINATAはおばんざいの店で食事を済ませ、直ぐマネージャーが迎えに来ましたので帰りました。そして……残ったみんなで桜見物をして4時頃皆と別れました」


「それを立証できますか?」


「私は6時から作家森田治との対談が、五重塔と満開の不二桜が並んで立つ東寺近くのレストランで対談がありましたので、聞いていただければ分かります」


 そして……更にこの後、陸は作家森田治氏に誘われてクラブの飲み会に参加しているので、陸の容疑は晴れた。


 それでは……バー「diamond drop」の片隅で不穏な態度で、陸と葵の行動を見守っている男の姿があったが、あの人物は誰だったのか?


 実は……それはズバリ!イケメン俳優の島崎健斗だった。そして……あの時沙織は花音に早川葵を尾行させて、GPS発信機を葵のバッグに忍び込ませた。


 ★☆

 ⭐今井絵里の場合

 あの事件の夜、軽井沢・白糸の滝イリュージョンは幻想的にブルーの無数の糸が垂れ落ち幻想世界を演出していた。あまりの美しさに見入っていると一層幻想世界が広がった。


「軽井沢 白糸の滝 真夏のライトアップは、夏ならではの幻想的な景色を堪能出来るね」

「本当だね。涼みながら見ていると暑さを忘れる。数百条の地下水が白糸のように落ちるのを眺めていると本当に心が洗われる。幻想的な滝の姿を楽しむことができて最高!」


 そう2人で言いながら青の世界を堪能していると、兄陸がHINATAと健斗がいる場所に血相を変えて飛んでやって来た。


「オイ!絵里どこかで見掛けなかったか?トイレに行くと言って俺と別れてもう1時間以上経つんだ。おかしいだろう?」


 こうして……HINATAの彼氏健斗と3人で絵里を必死に探した。それでも見付からないので軽井沢警察に届けた。


 3人は不安を抱えながらもホテルで待機している。一体どこに消えたというのか?


 陸はふっと居なくなる数分前の絵里の不審な行動を思い出した。そう言えばあの時俺と「白糸の滝」を見ていた時に絵里の携帯に引っ切り無しに電話が入っていた事を思い出した。


「嗚呼……どうしたの?えっそっちに来てってどういう事?……分かったわ……うんうん分かった……ちょっと待ってね?はっはっは😆」


 随分親しげに笑顔で話していたが?そして……その後急にそわそわして俺に言った。


「トイレに行ってくるから待っていてね」と言って消えた。


「誰から電話だったんだい?」


「それが……変なのよ『電話したことは誰にも言わないで!』だって……」


そして……「じゃあトイレに行ってくる」これが絵里の最後の言葉となった。


★☆


「あっ!軽井沢警察だが、東京から見えている田宮陸さんをこちらに呼んで下さい」


 陸が慌ててホテルの部屋から飛び出しホテルのフロアーにやってくると、警察官2人がソファーで待機していた。


「あっ陸さんですね。絵里さんが見つかりました。それがですね……非常に残念な結果ですが、白糸の滝の鬱蒼とした林の中から他殺体で見つかりました。何か……紐のようなもので締めた跡がありました」


「ええええええ……そんな……そんな……ウウウッ(´;ω;`)ウッ…( ノД`)シクシク…一体どうしてウウウッ」


 ★☆


 深夜にも拘わらず多くの警察車両でごった返す滝の白糸に早速検視官 がやって来て、遺体の状況から事件性があるかどうかを判断する為に必死に捜査に当たっている。

その結果首を絞めたことによる頚椎の骨折が死の原因と考えられる。こうして殺人事件として捜査が開始された


それでも紐というよりベルトで絞殺した跡があったので、凶器はベルトと考えられる。あの時電話して来た相手は誰だったのか?


 ★☆

 ⭐「美少女組」優香の場合


 晩秋の夜の事だ。アイドルになりたくて色々なオーディションに応募していたが、中々合格を掴めず、やっと4年めに合格出来た事務所ミーティア・プロモーション系列会社「コメット」に所属していた「美少女組」の1人だった優香が殺害された。


「キャ――――ッ!あっ!……あなたは……あなたは……何故このような事を?」


 そうあの優香が殺害されたのだ。それは芽が出ず思い余った優香はとうとう陸との枕営業に走った。


 ★☆

 一方の陸の母陽子だが、売れない女優早川葵との交際には当然大反対。


 そしてもう1人の交際相手である今井絵里だが、僧侶一輝と陽子の浮気現場を目撃した絵里の母が、その話をうっかり近所の住人に話してしまった事により剛から離婚を突き付けられた陽子だったが、このことが後々尾を引き、息子陸も安福時を追い出され、愛人美知の息子雄大に安福時は継承されたので、2人に対する殺害動機はあるが、母陽子は犯人ではなかった。

 

 ★☆

 それでは……犯人は一体誰なのか?


(沙織、俺は……俺は……お前と行く行くは結婚して、真実の愛と仕事の両方を手に出来ると思っていた。兄陸という大きな後ろ盾を手にして俺の人生には輝かしい未来しかないと思われていた。だがそれは俺の幻想にしか過ぎなかった。俺は……俺は……突如沙織から別れを切り出されて到底諦めきれずに、あの日2人を追いかけた。2人はポルシェで湘南海岸に車を走らせている。そして……見てしまったんだ。仲の良い兄妹だと思っていたが、何と……想像もできない狂った関係だったとは?あの夜海が青く光る秋の夜。湘南・逗子の『NIGHT WAVE』自然を活かした青白く光るダイナミックな波のアートを見ようと車から降りた2人。そこで見てしまったんだ。これは何かの間違いだ。現実が受け入れられない俺は……見てはいけないものを見てしまった。夏の暑さも過ぎた秋の逗子海岸で何と……兄妹の2人が熱く抱擁を交わし濃厚な口づけをしていたのだ💋。『NIGHT WAVE』を暫くの間見入っていた2人だったが、またしても車を走らせ、お洒落な別荘の駐車場に車を停めて別荘の中に消えた。俺はこの頃には陸さんの家にも書類を取りに走らされたりしていたので、勝手に別荘に侵入してもなんとも思わなくなっていた。そこで現実を確かめようと、まるで夢遊病者のように別荘に侵入して2階に上る外階段があったので2階に上った。暫く隠れて様子を見ていると、何と……沙織が全裸になりガラス張りのジャグジーで体を休めている。青い月の光に照らされた沙織のしなやかな美しい姿態がガラス越しに揺らめいて……ジャグジーに目を落とすと静かな湖面をうつろう水紋のように女体はそのかたちを変えていった。やがてシャワーを浴びて出て来た沙織だったが、今度は陸がシャワーを浴び、そして…やがて2人はベッドで重なり合った。


「どんな事が有ろうと……絶対に離れたくない……私は例え……天罰が下ろうと……陸と離れることなど出来ない。…ゥウウッシクシク(´;ω;`)ウッ…危険な関係だという事は痛いほど分かっていても……それでも……この関係を終わらせることなんて出来ない。もっと……もっと……強く抱いて嗚呼💋💕💖……」


「俺もさ……沙織しか考えられない。愛している💕💓」


「嗚呼……どんな過ちであろうと……陸しか考えられない。もっと……もっと……強く抱いて陸……嗚呼……お願い……もっとよ💛💋ああああ」


 人目を忍んで愛し合うカップル。


(俺は……俺は……2人が許せなかった。とりわけ沙織がどうしても許せなくて、側にあった大理石の花瓶でカーッとなった俺は沙織に花瓶を振り下ろしていたんだ)。


 ”ドッカン”

「あっ!何てことするんだい!」 


 辺り一面血の海となったが、陸が慌てて救急車を呼んだので沙織は一命を取り留めたが、最悪な事に脳挫傷と診断された。強い衝撃を受け、脳が傷つく”ことによって、脳機能の低下、てんかん発作、錯乱などが起こり、傷ついた部位によっては感情がコントロールできなくなるようなこともある恐ろしい症状だ。

 


 ★☆

 

 逗子海岸をふらふらと……足取りもおぼつかない……正気の沙汰とは思えない……それも……何とも美しい女性が……只…時々幻覚が現れるのか?それとも……幻聴を耳にするのか?ニヤニヤ空笑しながら……また、突然大声で笑い出したり……幻想を思い浮かべたように……ふらふらあてもなく……


 すると……60代の女性が心配そうに近づき言葉をかけている。


「ウウウッ( ノД`)シクシク…お可哀そうにウウウッ……お嬢様お寒うございます。お家に入りましょう」

「ふっふっふっふ……あ~っはっはっはっは~」


 只々当てもなくふらふらと……。

 傍らには陸が一時も離れずに寄り添っている。集中治療室へ収容された沙織は 脳に損傷を受け只の狂った生ける屍となってしまった。


 ★☆

 沙織が脳に損傷を受けた事によって家族で話し合いが持たれた。


「精神病院に入れましょう」

「仕方がないな。面倒見切れないから……」

「お父さんお母さん……それでは沙織が余りにも可哀そうだ。俺が沙織の面倒を見るよ」

「そんな治る保証のない沙織を引き取ってどうやって生活が出来るというの?」

「まあ狂った女をどうしようと……お前の勝手だ。好きにしろ!」

「あなた……何てこと言うの?陸いい加減にしなさい。そんな重荷を背負って生きて行くなんて……」

「大丈夫だよ!もう何年生きれるか分からない沙織だが、それまでは俺が面倒を見るさ」

「全く困った子だね。そんなお荷物が居ちゃ、まともな結婚も出来ないわ。どうするの?」

「いいの!いいの!」


(沙織これで誰も文句が言えない。沙織は俺だけのものになった完全に……)


 ★☆

 それでは……島崎健斗は何故このような残虐な犯行を犯してしまったのか?


 実は……沙織と交際がスタートしたのだが、真実の愛と仕事の両方を手に入れたい健斗だったが、そこには大きなハードルを乗り越えるという条件があった。


「健斗私ね、健斗が……陸と私の望み叶えてくれたら健斗との交際OKよ。ぅううん?その前に困っている事があるの。それはね……それはね……兄陸に言い寄る女たちの事なんだけど……家の周りをうろついて週刊誌の格好の餌食となっているのよね。それから……妊娠しても居ないのに噓をついたり。他の男との間に出来た子を陸の子だからと結婚を迫ったりで兄が困っているのよ。もし……もし……聞いてくれたら今度の「タイムマシンの扉」の主役のポスト私が兄に強く抗議するから絶対に大丈夫。そして…その付き纏っている相手が早川葵なのよ。あなたも知っているでしょう?だから……あの売れない女優早川葵を殺して欲しいのよ」


「ええええぇぇえええええええっ!そんな法に引っかかる事なんか……出来ませんよ」


「じゃあもう私に近づかないでくれる?私の事をどれだけ愛しているか試しただけの事」


「ああああああああ……やるよ!それをやったら沙織と交際が出来て、行く行くは田宮家の一員になれるって訳だね?」


「当たり前じゃないの!」


「それでも……早川葵の居場所分からないんだけれど……」


 健斗は沙織と一緒に4月2日のあの日京都に来ていた。花音の働きでGPS発信機を葵のバックに忍ばせてあるので、居場所はすぐに特定できた。


 こうしてあの夜健斗がベルトで一気に殺害した。そして…鬱蒼と生い茂る林の中に葵を遺棄した。余りの恐怖に慌てて逃げた。


 


 ★☆

 ⭐今井絵里の場合

 あの事件の夜、軽井沢・白糸の滝イリュージョンは幻想的にブルーの無数の糸が垂れ落ち幻想世界を演出していた。あまりの美しさに見入っていると一層幻想世界が広がり只々見入っていた4人だったが、2組のカップルに分かれて白糸の滝イリュージョンを見ていた時だ。兄陸がHINATA(沙織)と健斗がいる場所に血相を変えて飛んでやって来た。


「オイ!絵里どこかで見掛けなかったか?トイレに行くと言って俺と別れてもう1時間以上経つんだ。おかしいだろう?」


 こうして……HINATA(沙織)の彼氏健斗と3人で絵里を必死に探した。それでも見付からないので軽井沢警察に届けた。


 3人は不安を抱えながらもホテルで待機している。一体どこに消えたというのか?


 陸はふっと居なくなる数分前の絵里の不審な行動を思い出した。そう言えばあの時俺と「白糸の滝」を見ていた時に絵里の携帯に引っ切り無しに電話が入っていた事を思い出した。


「嗚呼……どうしたの?えっそっちに来てってどういう事?……分かったわ……うんうん分かった……ちょっと待ってね?はっはっは😆」


 随分親しげに笑顔で話していたが?そして……その後急にそわそわして俺に言った。


「トイレに行ってくるから待っていてね」と言って消えた。


「誰から電話だったんだい?」


「それが……変なのよ『電話したことは誰にも言わないで!』だって……」


そして……「じゃあトイレに行ってくる」これが絵里の最後の言葉となった。


 そうなのだ。この時電話したのは沙織だった。プリペイド携帯電話で絵里に電話をかけた。警察もトップアイドルが犯行に加わっていようなど考えられなかった。当然沙織は最初から容疑者から完全にスルーされていた。


 沙織が絵里電話した内容は次のようなものだった。

「絵里?実は……陸兄ちゃんに新しい女が出来たので詳しい話するから白糸の滝の裏側に来て!この話は一切しないでね兄に聞かれたら不味いので……それから私の名前も出さないでね」


 そして…実行犯健斗に、この時も沙織との恋愛続行と田宮事務所の幹部のポストと主役の座の3点セットを餌に絵里殺害を健斗に実行させた沙織。「白糸の滝の裏に来て」と健斗を誘い出し、実行したのは健斗だった。そして鬱蒼とした林の中に遺棄した。ここでもベルトで締め殺した。


後ろから襲い一気に絞殺した。


「ギャ――――ッ!ウウウッ」


 ※地下鉄サリンの高橋容疑者は、以前勤めていた会社の知人が2009年に契約したプリペイド式の携帯電話を譲り受けて使っていたが、3年間も逃げ通せた。このような事情から2009年前後はプリペイド携帯で犯罪に加担する者も少なからずいた。

 

 ★☆

 深夜にも拘わらず多くの警察車両でごった返す滝の白糸に早速検視官 がやって来て、遺体の状況から事件性があるかどうかを判断する為に必死に捜査に当たっている。

 その結果首を絞めたことによる頚椎の骨折が死の原因と考えられる。こうして殺人事件として捜査が開始された


 それでも紐というよりベルトで絞殺した跡があったので、凶器はベルトと考えられる。

 そして…健斗は首を絞めた事による指の出血が原因で血液が健斗と一致したことで逮捕された。

 

 結局15年前の早川葵と今井絵里の犯行は沙織がシナリオを描いた主犯格で、それに従ったのが実行犯の健斗だった。 

 ★☆

 優香殺害犯は優香のマネージャーだった。優香が最近ボチボチテレビに出始めて13歳年上の有名演技派俳優との結婚が決まり芸能界を引退する事になった。優香とマネージャーは深い関係に有り、芸能界の荒波を乗り越えて来た。行く行くは結婚して2人で芸能界で生きて行こうと思っていたのに、長年に渡り支えて来た恩も忘れてマネージャーを捨てて幸せを掴んだ優香が許せなかった。

 


 ★☆

 沙織は4歳で田宮家に実子として貰われて来た時から心のどこかに兄陸がいた。一方の7歳の陸は沙織を見た瞬間から、余りの美少女ぶりに心を奪われていた。


「どうして……どうして……陸に近づくの。許せる訳ないじゃないの?私の大切な陸に指一本でも触れたらただじゃ置かないから!」


「私たち2人の問題には口出ししないで!妹は黙っていて頂だい!」


「葵私にそんな大きい口叩くとは大した度胸ね。あなたみたいな冴えない女が陸と釣り合うと思っているの?思い上がりも甚だしい。汚らわしい!このクズが!」


 ★☆

 心神喪失者だったので,刑罰を受けることがなかった沙織は、現在脳挫傷が回復に向かっている。

 

 海外ではサクランボは2つ一緒になっていることから、カップルや男女関係で使われることもある。


 正しく陸と沙織カップルは【狂ったサクランボ🍒】

 

 ★☆


 🌊1人の失恋した女が誰もいない海を見詰めながら時折涙している🌊。


「ふっふっふっふ……」

「わっはっはっは……」

 ……とその時美しいカップルが夕日に照らされ砂浜を、時には手をつなぎ、時には体を絡ませ笑顔で砂浜を駆け回り波と戯れている。


 すると……60過ぎのご婦人が女に話し掛けてきた。


「どうなさったのですか?」


「ええ……傷を癒しにやって来たのです」 


「傷?」


「そうです。失恋の痛手から立ち直れなくって……」


「私も……大きな悩みを抱えています。そう恋愛の悩みで狂った関係です。あの2人の事です。もう狂った女に愛層を尽かすと思い好きにさせていたのですが、変な感情幻想は吹っ飛び、新たな恋に目を向けるに違いない。そう思いとことん現実に直面させたが、2人の愛は一層年月分だけ大きくなった。もう私にはどうにも出来ません」


「一体どういう事ですか?」


「実は……あのカップルは本当の兄妹で私の大切な子供たちなのです。ぅううっ( ノД`)シクシク…神も仏もありません。こんな残酷な巡り合わせをこの子達に与えてしまうとは……」


「でも……でも……でも……あの2人の笑顔をごらんなさい。形式ばった恋愛関係より真実の愛に到達できた2人は、紛れもなく世界の誰よりも幸せそうに見えます」


「ところで……貴方の失恋話を聞かせて下さい」


「私は母の交際相手で義父と抜き差しならない関係になり、義父と逃げたのですが、母は義父を取り私は母と縁を切られてしまいました。そして義父も去った。だから……義父の私に対しての思いはそれだけのものだったということです。真実の愛を貫けるカップルもそういないと思います。もし……どうしても許せないのであれば死んだものと思って縁を切ってください」



「ウウウッ( ノД`)シクシク…わあ~~~ん😭わあ~~~ん😭」

 


 終わり


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

狂ったさくらんぼ あのね! @tsukc55384

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ