知性と感性に訴える、計算し尽くされた恐怖の連鎖!!

 この作品には、ものすごい吸引力のあるホラー性が備わっています。

 「かさとそ様」と呼ばれる、「こっくりさん」に似た怪異が中心となったストーリーで、インターネットのサイトで「かさとそ様」という謎の存在に質問を入力すると、それが瞬時に答えてくれるというのが主な内容です。

 このストーリーは、ある瞬間を持って一挙に不穏さが噴出します。
 とある質問を入力した後、一見意味の通らない、「謎の文字列(全て平仮名)」が登場します。

 小説を読みなれている人間ならば、真っ先にここで「一つの解読法」を試してみたくなります。
 「大体はこのパターンだと、このやり方で」と文字列を解読しようとし、「なんか、単語っぽいのが出てきたな。でも、どういう意味があるんだ?」と、解けそうで解けない、更なる謎が出てきます。

 そうして読み進めたところで、『作品の仕掛け』が強烈に発動するのです。

 『暗号』を解読しようと知性を働かせたことで、そこからぐいぐいと「恐怖の連鎖する事態」に引き込まれていきます。

 そういう緻密に計算されたようなホラー性があり、強烈な没入感を持ってラストまで読み進めさせられる作品です。

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