第2章: 基地の奇妙な雰囲気

侵略者たちは略奪した物資と捕虜を連れて基地に戻った。彼らを迎える歓声が響き渡ったが、指導者は何かが間違っているという不吉な予感を振り払うことができなかった。基地の空気は重く湿っていた。いつもとは違い、木々は生気がなく、空は灰色の雲に覆われて早くも暗くなっていた。


略奪した物資を運び、捕虜を指定された場所に追い込んだ後、皆が落ち着くと、すぐに宴会の準備が始まった。しかし、指導者の心には依然として不安が渦巻いていた。


指導者は基地内をゆっくり歩きながら状況を注意深く観察した。「異常はないように見えるが、妙な違和感があるな」と彼はつぶやいた。彼の目は奇妙に枯れた木に止まった。その木は生命を失ったかのように枯れ果てていた。


「この木を見てみなさい。おかしくないか?」と老婆が指さしながら言った。彼女の声は震えていた。


指導者は通りかかった村人に尋ねた。「君、この木々は我々が出発する前には生き生きとしていたはずだが、なぜこうなったのか知っているか?」


「何を言っているんですか?もともと枯れていましたよ。」村人の返事は指導者の不安を増幅させた。周りのすべてが奇妙に感じられた。地面から立ち上る濃い霧、時折聞こえる理解不能な囁き声、そして空気中に漂う不気味な匂いまでもが彼を不安にさせた。


指導者は他の兵士たちにも尋ねた。「ここで何が起こっているんだ?出発前にはこんな異変はなかったぞ。」


兵士たちも困惑しながら答えた。「私たちもよく分かりません。木がもともとこんな風だったとは思えません。」


汗をかきながら、指導者は他の奇妙な点についても尋ねた。「やっぱり何かがおかしい...今日は無理をしすぎたか...自分がおかしいのか...」


彼は一緒に基地の外に出た兵士たちに尋ねた。兵士たちは皆、指導者と同じ記憶を持っていた。「なぜここにいた者たちと外に出た者たちの話が違うのだ...」指導者は背筋に冷たいものが走るのを感じた。


指導者は木を指さした老婆に近づき、彼の懸念を共有した。「まずは落ち着け。まだ何も確かなことはない」と老婆は彼をなだめた。「もう遅いから休むべきだ...」


その時、兵士たちが宴会の準備が完了したと知らせに来た。指導者は老婆の言葉を思い出しながらも、結局宴会に向かった。


宴会が始まると、兵士たちは豪快に笑いながらパーティーを楽しんでいたが、指導者は一人で笑うことができなかった。宴会場は豪華に飾られていたが、そのすべての装飾は冷たい空気の中でさらに奇妙に見えた。彼らの間を漂う冷気と煙の匂いは、まるで何かが大いに間違っていると囁いているかのようだった。


しばらくして、隣にいた兵士が尋ねた。「さっき一人で何をしていたんですか?」


「何のことだ?老婆と話していたんだ」と指導者は答えた。


「一人でしたよ。老婆?それは誰ですか?」


「ここの長老だ。」


「長老?初めて聞きますね。」兵士の返事に指導者は恐怖に駆られ、持っていた酒杯を落とした。最初は基地にいた者たちと外に出た者たちの話が違っていたが、今では外に出た者たちの間でも話が全く異なっていた。恐怖の雰囲気が指導者を包み込んだ。彼の恐怖はますます大きくなった。彼は宴会から抜け出し、夜空を見上げながら自分を落ち着かせようとした。


「今日はただ疲れているだけか?」と彼はつぶやいた。そして、枯れた木に気づいた。「待て、ここに木があったか?」その木はさらに恐ろしい様相を呈していた。枝はねじれており、すべての葉が落ちていて、まるで死の手のように見えた。


指導者は木を注意深く調べながら、ますます恐怖にとらわれていった。枝が風に揺れながら、まるで何かを警告しているかのようだった。彼は酒の勢いを借りて剣を抜いた。決意を胸に、全力で剣を振り下ろした。鋭い刃が木に深く食い込み、不気味な音を立てた。


突然、木が真っ二つに裂け、謎の赤い液体が噴き出した。その液体はまるで濃厚な血のように見え、指導者の全身を濡らした。冷たい液体が彼の衣服を通り抜け、肌を冷たく刺した。同時に、木から耳をつんざくような悲鳴が響き渡った。その音は非常に恐ろしく痛ましく、まるで苦しむ霊の叫びのようだった。悲鳴は空気を裂いて広がり、指導者の心臓は恐怖で止まりそうになった。


「これは...血か?」指導者は驚きを隠せず、全身に鳥肌が立った。木の切り口から赤い液体が絶え間なく流れ出し、同時に奇怪なうめき声がかすかに聞こえた。


その瞬間、背後から誰かが指導者の肩を叩いた。彼は心臓が止まりそうな恐怖に駆られ、慌てて振り向いた。冷たい夜風の中で彼の息遣いだけが聞こえた。暗闇から手が伸びてきて指導者の肩を掴んだ。彼は悲鳴を上げながら後ずさりした。


「だ...誰だ!」指導者は震える声で叫んだ。目の前にはかすかな影が立っていた。その姿は人間のように見えたが、どこか歪んでいた。影はゆっくりと近づいてきた。指導者は後退しながら剣を構えた。「姿を現せ!お前は誰だ!」


影はもう一歩近づくと、突然消えた。指導者は混乱に陥った。彼の周りには誰もいなかった。しかし再び、冷たい手が背後から伸びてきて彼を掴んだ。彼は恐怖に駆られ再び振り返ったが、またしても何も見えなかった。


「これは...一体どういうことだ...」指導者は混乱と恐怖で体を震わせた。その瞬間、彼の耳元で囁く声が聞こえた。「.........」それは理解不能な謎めいた声だった。


「何かが...何かが大いに間違っている...」指導者は自分に向かって囁いた。彼は安全な場所に移動しようとしたが、足取りはますます重くなった。そして再び、背後から冷たい手が伸びてきて彼を掴んだ。今回は決して放さないかのように強く握りしめた。

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noname 物語 - ??? 影の光 @kagenohikari

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