雨と料理が繋ぐ暖かな記憶

傘を忘れたことをきっかけに異国から来た隣人との交流が始まるお話。梅雨の雨の中、若者2人のしっとりとした友情が心地よい温度感で書かれています。

―― ☂ ―― (これがかわいい)

異国の友人、劉さんの会話の表現が抜群に良かったです。主人公が話しかけられている感覚を文字でそのまま表現してかつ楽しく読めました。グットアイデアです。

最もセンスを感じた部分はラストです。誰しも筆を持つとなんだか安直な感動を描いてしまいがちです。この話は梅雨が終わるようなさらっとしたラストには大きな価値がある。ほんの少しの間に一緒に食事をして暖かい交流を持った記憶だけでも人生を支えうるのだと教えてくれます。

側にいてくれるズットモでなくても、毎日話してお互いを支え合わなくても、ただ目の前の人と楽しく過ごすことがどれだけ大切なのか。"簡単な優しさ"を持つことを肯定してくれるステキなお話です。

追伸
操作ミスで丸一日☆1にしてしまっていたようです。迷いなく☆3です。