意味さえ合っていれば、漢字を並べただけで中国語っぽくなる、という発想に感心しました。
本当にカタコトの日本語に聞こえる、文字ならではのアイデア。本当に留学生と話しているような臨場感がありました。
話の内容も、現代の人々が忘れてしまっているような"人間本来の優しさ"が描かれていて、心が温かくなります。
昔、一人旅で北欧に行った時に、駅で金髪のカップルに話しかけられて「1日乗り放題の乗車券を買ったけどもう使わないからあげるよ」的なことを言われたことを思い出しました。
写真も撮っていないのに今でもはっきり顔を思い出せるくらい、嬉しかったです。
親切1つ、思い出1つで人は一生覚えているものだと思います。
素敵な作品をありがとうございました。
傘を忘れたことをきっかけに異国から来た隣人との交流が始まるお話。梅雨の雨の中、若者2人のしっとりとした友情が心地よい温度感で書かれています。
―― ☂ ―― (これがかわいい)
異国の友人、劉さんの会話の表現が抜群に良かったです。主人公が話しかけられている感覚を文字でそのまま表現してかつ楽しく読めました。グットアイデアです。
最もセンスを感じた部分はラストです。誰しも筆を持つとなんだか安直な感動を描いてしまいがちです。この話は梅雨が終わるようなさらっとしたラストには大きな価値がある。ほんの少しの間に一緒に食事をして暖かい交流を持った記憶だけでも人生を支えうるのだと教えてくれます。
側にいてくれるズットモでなくても、毎日話してお互いを支え合わなくても、ただ目の前の人と楽しく過ごすことがどれだけ大切なのか。"簡単な優しさ"を持つことを肯定してくれるステキなお話です。
追伸
操作ミスで丸一日☆1にしてしまっていたようです。迷いなく☆3です。