ジンガイドウシ¿?

私の機体名は 九条音葉

生みの親であるマスターが殺されたことをきっかけにこの街へと渡ってきた

この機体名は、その時に保護してくれた店長に付けて貰った名前だ

「店長、おはようございます 今日はガレージ開ける日でしたよね」

アジトで珈琲片手にくつろいでいる店長、、、イーラさんの隣に座り声を掛ける

「ン、ソウだったッケ  アリガトねおとは」

いクかァ、、、とマグカップを置いて準備に行く店長を待ちつつ今日のスケジュールを整理し、玄関から店長と自分のバイクのキーを取って、自分も部屋に置きっぱなしだった持ち物を取って再度リビングへと出る

既に何時もの服装で持ち物を持った店長が置きっぱなしだった珈琲を持って待ってくれていた

「すいません、お待たせしました」

「まッテ無いヨ? 行こっカ」

そう言って先を行く店長の後ろについて外のガレージでバイクを出し、ガレージへと直行

機材の準備やガレージ内の掃除を軽く済ませてから、シャッターをあげる

暫くの間店長との雑談を楽しみながらカスタムについての勉強やこの後の犯罪予定を立てていると、見慣れたチャイナ服の少女がやってきた

同じくギャング 星屑 に所属しているアンダーボスのイズさんだった

「あれ、イズさん? どうしたんですか?」

「嗚呼、音葉さん 新しいバイク買ったのでカスタムをお願いしようかと イーラさん居ますか?」

丁度奥の方に足りないものを取りに行ってしまった店長を呼びに行くため、少し待っててくれと言い自分も奥へ引っ込む

店長と一緒にガレージへと戻ると、なぜか知らんがギャングと警察両方ともの客が増えていた

なんでぇ、、? とぼやく店長を応援しつつぱぱっと修理を終わらせていく

店長の方もカスタムが終わったらしく、請求分を数えながら雑談をしていた

「あ、すいません この後少し音葉さん借りても良いですか?」

「んェ、マぁ特にないシ良いケド アノ、22時回る前マでに返しテネ」

、、、どうやら勝手に貸借のやり取りをされているようだが、何かあっただろうか?

残っている人の修理を終わらせて、請求を切り終わらせる

「イズさん終わりましたよ、何か私に用事でしょうか?」

店長と話しながら待っていたイズさんの傍へと駆け寄り、そう声を掛ける

バイク乗りましょと言われ、止めていたバイクの鍵を外して外に出る

「何処行きます?」

「取り敢えず~、、海行きましょうか、最近お勧めの場所あるんですよ」

ふは、と悪戯っ子のような微笑みを魅せる彼女につられて微笑んでは2人だけの無線をつないで雑談をしながらマップ上にピンを差された場所へと向かう

ピンの場所町は街はずれの海岸だった

バイクを止めて鍵をかけて、靴を脱ぎ砂浜へと走る

「気に言って頂けた様子ですね  この海岸あまり人が来ないんですよ」

「そうなんですね、あまり街から離れることは大型以外で無いので新鮮です、、、w」

喜んでいただけたようで何より、と言って座り込む彼女の隣に同じようにして座り込む

忙しなく進んでいく日常から切り離され、こうして空をただ眺めていると遠くまで来たんだなぁとわかる

いつだったか、マスターともこうして海を見に行った記憶が奥底に眠っていて、懐かしさを感じる

復讐心 は今や、バグの起因となってしまってからはイーラさんにより隔離され、一部データとしてガレージに置いてあるが、この街に来る前の記憶は未だメモリーに残っている

「いやぁ、、人外同士、静かな場所で話してみたいなと思いましてね ここが良いかなと思ったんですよ」

と穏やかな表情のまま言う彼女

イズさんも一応人間だが、この街に来るまではずっと被検体として日々を過ごしていたらしい

彼女の異様な殴り合いでの火力の強さや動体視力の良さはそこからの名残だと本人が言っていた

「確かに、あまり私たちで話すこともないですしね 確かイズさんは、、ボスに拾われたんでしたっけ?」

ゆったりとした時間のなか、海を眺めながらこの街に来てからの話を

彼女と話をしていくと、新興ギャングである星屑のアンダーボスとして広く知られてきたことはボスであるオオサキさんに貢献できる反面で、ただでさえ異端の育ち方をしている自分と言う存在の過去を周りの人間が知ったときにこれまでと同じように接してくれるかという不安はずっと拭えないと語る、警察は別に突き放そうと構わないけどねとの言葉を付け足して

そんな不安そうな彼女の顔は見ずに ”あなた自身を信用しているから” その場所でギャングの皆さんと関わって、ボスたちと一緒にこの街で騒ぎ倒せると、我々星屑は絶対に裏切ることなんてないと言葉を落としてみる

ぱっとこちらを見た後、笑って そうですか、ありがとうございます と礼を言ってくる彼女の声には先ほど不安を漏らしていた声音よりも芯が通っていて、不安なんて感じさせないような安心できる我々の保護者だった

「音葉さんは、何かそういった不安とかって感じたりするんです?」

「私は、、そうですね」

限りなく人に寄せられたロボットにだって不安と言う感情は生まれてくる

私にとっての不安や恐怖をぽつりと話せば、確かにそれは怖いですねと苦笑しつつ最後には励ましてくれるイズさんに心癒されながら時間を溶かしていく

結局そのあとは海で水を掛け合い、しっとりとしたままアジトへ帰ってボスに怒られ店長に心配されるというところまでのハッピーセットを見事にコンプリートしてしまった



_______________________________


「今日のは、、、何だったんだろうな? シリアスにしては日常だったし」

_人外臭さにじみ出てたな今日_

_人外本音パート助かる_

とある明るい部屋で、早朝4時を指す時計に背を向けて世界に向けて話しているとある社会人女性がいた

その女性は配信者で、今は 九条音葉 としての配信を終えて視聴者とのんびり雑談をしているところだった

「題名どうしようねw? マジで決まらん」

_もうなくて良いんじゃね_

_人外同士の本音とか_

一つの言葉にぽこぽこと流れていくコメント

笑いながらある程度の量を返しているととある動画ファイルの共有リンクが貼られた

_人外同士の本音 切り抜いてきました_

「人外同士の本音、、、それいいな?」




後日、とある配信者のチャンネルに、こんな題名の動画が新規投稿に名を連ねていた


アナザーライフ ストリーマーワールド    ジンガイドウシ¿?

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