概要
哀しみの中にも温かさを感じさせる、感動的な余韻を残すミステリーロマンス
主人公は、湘南の海辺でサーフィンを楽しむ四人の若者たち。夏の終わり、彼らはツクツクボウシの音色が奏でる学生街の喫茶店で、不思議な女性の帆夏と運命的な出会いを果たす。六年前、土用波にさらわれこの世を去ったはずの彼女が、お盆の時期になると、かつて働いていたその店に現れるのだ。彼らは帆夏の熱く切ない想いを共有し、彼岸花が赤く燃える七里ヶ浜で、彼女との再会を誓う。帆夏への深い愛情が、彼らの心に刻まれていく。その先に広がる景色は、哀しみと温もりが交錯する、感動的な余韻を残すものであった。この物語は極めて短い小説だが、読者に深い感動を与えるミステリーロマンスになっている。よかったら、湘南の風を感じながら、扉を開けてみてください。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!心に遺る作品! 何か思い違いをしていた。読み返すとまた違った感想が。
帆夏さんは、よっぽどお仕事が好きなんゃね。
あの世にいっても、以前働いていた喫茶店を手伝いに来ていた。
そんな読み方をしてはいけなかった。
てんてこ舞いの店内で忙しく働く仲間の手助けになればと、リーダーをしていた彼女の責任感と優しさがそうさせていたのだ。
もちろんお仕事も好きだった。
大好きだった湘南の海に連れ去られた帆夏さんの思いは、いつまでもそこに遺っている。
それに気が付いた大学生たちは花を手向けに行った。
彼らも初めは軽いナンパのつもりで彼女に声をかけた。
彼女の正体を店長から訊かされ、それは驚きと共に彼女の無念を思うようになり、彼らもまた優しい。
この優しさに是非包まれてください。