春夏秋冬(短歌)

真堂 美木 (しんどう みき)

 春夏秋冬(短歌)

冷たさに 微かに春の 漂いし 明けの金星 放つ輝き

わさわさと 花粉散らせし 揺れる木々 憎々し気な 風の悪戯 

躓きし 人の強きか 春の日に 旅立つ背には 固き意志あり

散りゆきし ソメイヨシノの 刹那かな 遺され逝くも ただ淡々と

風薫る 出雲詣でに 縁あり  一期一会の 神のはからい


紫陽花の 蕾を起こす 雨粒に 急かされ揺れる 新緑の葉

ほおずきの 風船遊び 懐かしむ 遠き面影 柔らかな時

彩る 大輪の花火 闇に落ち 夏の残影 虚しくもあり

盆過ぎし 広がる居間の 静寂 賑やかなるは 虫の声のみ

向日葵の 種を携え 俯くは 時懐かしむ 夏の亡霊

哀れなる 七日の恋に 朽ち果てて 蝉の亡骸 土に還りし


風立ちて なびきたる草 見下ろすは 孤高のごとき 高き空色

暗闇を 照らす名月 美しく 天の道ゆく 輝夜姫かな

神無月 雲の流れの はやきこと 冷たき風に 心許なし

枯草に 黄色き蝶 戯れし 乖離した時 撫でる風吹く

秋桜あきざくら 寂しからんや 道の端 木々の彩り 濃くなりゆきて


枯草の 滴くしずく光らせ 払いたる 雨のち晴れの 風のいたずら

冬の雨 暗闇覆う 目隠しか 空の先には 流星群

如月の 冷たき風に 偲びたる 無念の思い いかばかりかと

冬の夜に 五重塔 照らされし  凍えるごとき 闇を刺したる

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春夏秋冬(短歌) 真堂 美木 (しんどう みき) @mamiobba7

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