特使探索方控

　須坂藩主の腹違いの三男日野唐十郎が忍びの女から妖刀を渡された。
　その夜。廻船問屋讃岐屋に入った賊が斬殺され、讃岐屋の抜け荷が発覚した。斬殺された賊を検視した検視方、日野道場主で唐十郎の伯父日野徳三郎は、下手人を剣の達人と判断した。巷ではこの下手人を鎌鼬と呼んだ。折しも公儀（幕府）が草案中の天下普請の触書が漏洩し、商人が天下普請に関係する商品を値上げすると懸念された。
　翌夜。天下普請で儲けを企む談合の帰り、材木問屋紀州屋の主と味噌問屋信州屋の主が斬殺された。仏を検視した徳三郎は、下手人を鎌鼬と断定した。
　町方には事件解決は困難とみて、奉行所は鎌鼬捕縛に日野徳三郎を勘定吟味役荻原重秀直属の特使探索方に任じた。
　徳三郎だけでは人手不足と考え、大老堀田正俊は剣術試合を催して勝者である日野徳…続きを読む