第40話:大義

幻想少女寮の廊下を進む。そこでイエルロが口を開いた。


「そういえば、あんたらには指揮官はいないの?」


場の空気が一瞬で凍りつく。


「……何よ」

「———うむ、以前はいたのだがな、殉職してしまった以降立候補もなかったのでそのままだッ!」

「へえ」


「……………」


以前先輩が言っていたことを思い出す。




『いいか? 英雄の一突はだ。かなりやばい噂もある、長生きしたけりゃ近づくなよ』




「……………」


「着いたぞッ!」

「やぁっとあの引きこもりを引っ張り出せるな」


言うが早いか、ドンドンドンとそのドアを叩き始めるノイズ。


「おい! 仕事するぞッ!」

「そ、そんな態度で大丈夫なの? それに引きこもりとは聞いていなかったんだけど、本当に役に立つの?」

「心配無用ッ! どんな時でも最大限の動きができるよう整えているのがあいつだ、そうだろうランスロッド!!」


……返ってきたのは沈黙。


「……ならば仕方がないッ!!」


下がっていろッ! と言われ一メートルほど後ろに行くと……




———バガァァァンッ!!!




「おいおいおい!!」


キングが思いっきりドアを蹴破った。


「ひやぁぁぁぁ!?」


可愛らしい声と共に……明らかにトレーニング用のコスチュームを着込んだ少女が姿を現した。


「……!」


驚くべきはその体躯だろう。座った状態からもわかる身長は、軽々しく180を超えているだろう。引き締まった腹筋は俺が知らぬ全盛期を想起させ、磨かれていながらも、使いこまれてきた事がわかる、鈍い輝きを放っている銃火器が壁に鎮座していた。


しかし、俺が驚いたのはそこではない。


「きっ……キングっ」


キングを見るランスロッドの目が、明らかに怯えていたからだ。




「ランスロッド、貴様は私に罪悪を感じているのかもしれない。ならば我らと共に戦い、大義を成せ」




帰るぞッ! と身を翻し来た道を戻るキング。




翌日、そこにはランスロッドの姿があった。




「役者は揃ったなッ! では……………行くぞッ!!!」




こうして、俺達の遠征が始まった。


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短めで申し訳ない……


新作です!


ヤニカス、禁煙するためVRMMOを始める。


https://kakuyomu.jp/works/16818093087252709289

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ソシャゲの量産型に転生したので、理想の意味深キャラを演じながら主人公たちを見守ることにする。 涙目とも @821410

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