記憶を失った無垢な魂の放浪記

千年後の世界に転生した英雄が宿命の相手を倒し、想い人を救う話。
と思って読み進めたのですが、記憶を失った主人公は盗賊を殺してしまったかどうかで悩んだり、前世の記憶と価値観で動く自分の別人格の存在を危険視して、旅の仲間を遠ざけたりといった具合に、思慮深く傷つき易い性格だったりします。

これなんだろう?としばらく作劇意図がわからなかったのですが、しばらく考えて納得。

物語の状況に置かれた時、自分(筆者)だったらどう考えてどう行動するか? が書かれているんですね。

自分が創作をはじめた頃の、プリミティブな感覚を思い出して嬉しくなりました。

魔法と暴力が支配する世界で、わたしたちの価値観がどう試されるのか見てみたいなと続きが楽しみです。