綿密な設定に裏打ちされた深厚な世界観、心の温まるヒューマンドラマにクスッと笑えるコメディ、そしてエッセンス程度の恋愛要素までもがふんだんに詰まった、星の人シリーズ3作目!
SFが初めての方も星の人シリーズは初という方もご安心ください。SF初挑戦の方へ配慮された優しく柔らかい読み味。設定周りにもきちんと丁寧に説明がされているので、この「モータルアップデート」から読んでも世界観へ没入ができます。
特に本作の見どころは主人公・タカフミに訪れる大きな変化だ。彼はこれまで突出した行動力により異星人「星の人」の戦艦に乗り込んでいたものの、あくまで観戦武官という客人の立場だった。
ところが今作の事件から彼に予想だにしない事態が起こり、思慕を寄せるマリウスとの関係も変わっていく。読んでいて二人の間柄が愛しくて優しくて、でも切なくて……様々に揺れ動く情緒に感じ入って、浸らされることになるだろう。
蒼井シフト氏が描き出す、ユニークな異星人の世界に、ぜひ触れてみてほしい!
『星を掘る、黒髪が揺れる』の三作目です。
「銀河ハイウェイ」を建設している星の人と、その帝国と地球との関わり、他の星との関わりという世界観で描かれています。
この『星の人』シリーズ、面白いです!
『星の人』は外見は地球人そっくりですが、宇宙人ですから、地球人の常識があてはまらないところがたくさんあります。
そこに非人間のMIまで加わって、地球人にすればあぜんとするような勘違いや行き違いがおこるので、それらがとても笑えるんです。
一度この世界観にハマったら、この、プッ、クスクスから抜け出せなくなる楽しさがあります。
さて今回、星の人マリウスと地球人タカフミは新しい任務に挑みます。
ある星で技術流出の調査をするのですが、調べたり戦ったりしているうちに、その根本には巨大な陰謀が企まれていることがわかってきます。
きちんと設定されたSF世界と、人間味のあるキャラクターたちが生き生きと活躍するこの作品。
単独でも十分楽しめます。
ただ、第一作目『星を掘る、黒髪が揺れる』からお読みいただくと、もっともっと楽しめますよ。
ぜひ、おすすめします。
SFとは思考実験である。
テクノロジーの進歩が人間の何を変え、何を変えないのか。科学を下敷きにした人文学的な考察こそがSF小説の醍醐味だと私は思う。
蒼井シフト氏の「星の人シリーズ」第3弾である本作は、そうしたSF的な楽しみを存分に感じさせてくれるものだった。
本作には銀河系内の様々な星系、星間文明の人々が登場するが、彼らは全て同じ遺伝子的なルーツを持つ「人間」である。しかしながら、地球人の末裔ではない。「播種船」により宇宙に散らばり、それぞれの星系で独自の文化を育んだ人々なのだ。
つまり、遺伝子的には人類でありながら、文化的には地球とは全く異なる、そうした人々の姿を通して、本作は人間が文化やテクノロジーによって変わる部分と変わらない部分を描き出している。
こう書くと堅苦しく見えてしまいそうだが、その語り口はあくまで、アクションあり笑いありの、エンターテイメントの王道。人間同士の軋轢や、人間が生み出したAIとの軋轢から生まれる争いや、その中でも人間らしさを感じさせるユーモア。そうしたものが、時に激しく、時にコミカルに描かれる。
随所に散りばめられた現代的な知見も見逃せない。
宇宙を舞台とした冒険活劇というのは、SFとしては比較的古くからあるジャンルだが、科学考証はあくまで現代的であり、その意味ではまさに現代バージョンとして巧みにアップデートされた宇宙冒険活劇とも言える。
そして、女性しかいない国で最強の戦士として生きるマリウスのカッコよさも必見!
しかしこの不穏なエンディングは大丈夫なのか……!?
ということで次回作への期待も高まるばかり。
とにかく紛れもなくSFの傑作である『モータル・アップデート』、かつて宇宙に憧れた全ての方にオススメしたい。
とか言って、私もまだ前作は読めていないのでこれから読みます!!
宇宙からやって来た「星の人」と地球人タカフミとの交流を巡る本格的SFコメディの三作目。
美しい姿に確かな戦闘力を兼ね備えたマリウスとの出会いから時を経て、タカフミは彼女の傍に居たいという想いが募っている模様。
その傍らにいるマルガリータの食への探求心も健在です。
「モータル・アップデート」の意味が気になるところ。
直訳すると致命的な更新?
キャッチコピーにも予想もしなかったアップデートが迫るとありますね。
パソコンのアップデートで考えると分かりますが、急なOSの更新が入ると操作しずらくなることもありますよね。
タカフミはそのアップデートに対応できるのか。
そしてマリウスとの関係性はアップデートできるのか。
引き続き追わせていただきます。