第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト【俳句】二十句部門

朝吹

童話のやうなこの日々を 



◆春

桜貝にんぎょの森の落とし物


初蝶が片付けせかす春炬燵はるごたつ


すみれ草お昼寝中のとかげの尾


流しびな清瀬の上で見え隠れ


先帝会くさなぎのたち汐となり

(先帝会=宝剣と共に壇ノ浦に消えた安徳天皇を弔う)



◆夏

蟻の巣に日除け与える夏椿


雲過ぎて山嶺あらう梅雨の星


玻璃のさら瓜の色どり星涼し


爪を切る素足の先の茄子の花


一生を新樹しんじゅのよふに風に揺れ



◆秋

檸檬月かしの枝葉にゆうらりと


もりをかけ破つてみたし月の暈


庭苔に銀針おとす秋時雨


夕葦火あかねの墓地に遠汽笛


秋暮るる無人の浜の魚の影



◆冬

万華鏡オリオン見たと笑む幼児


冬の陽のながきをはかる畳の目


凍土いてつちに火傷しそうな雪の舞


一夜にてこびとの建てる霜柱


もがり笛かぜの魔王と愕く児




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第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト【俳句】二十句部門 朝吹 @asabuki

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