その蔵を、開けてはならぬ

何の曰くも禁忌もない。屋敷の中に在る
蔵の中には一体 ナニ が潜むのか。
空恐ろしき想像は 貌 を結び、恰も
創造の 異形 のように。

心の彼岸と此岸を分ける、その境界にある
蔵の扉は固く堅く閉ざされている。
開けずに置けば安寧と、何一つ変わらぬ
見慣れた日々が。想像の域を保っていれば
怖い事など何もない。

 
   開けたくはない、でも。





 「開けるな。」


その一言で、呼び戻される。