7. 何色?




「それでは、次のボタンを押された方のテスト結果を発表します」




 恐怖と、それを避けようとするさらなる恐怖のせめぎあい。

 こわばった身体を、首を、あなたはぎちぎち動かして、右手の装置におそるおそる目を向ける。


 赤いボタンは無惨に焼けこげ。

 青いボタンは古びて固まり。

 黄色のボタンは消えて穴に。

 緑のボタンは腐臭をたてて溶けていた。


 その次に、LEDの光をはらんでかがやくボタンが控えている。

 その光は、あなたが押した、選択したボタンだということを、静かに、だがはっきりと告げているようで。




 不意に、あたりが明るくなる。

 どこからか放たれたスポットライトのその色が、あなたの座席を包みこんでいる。




《了》

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スクリーン 武江成緒 @kamorun2018

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