正しく生きるということ。その正しさは誰が決めたの?

良太から女の子への感情は短い物語の中で刻々と変わっていきます。理想の女の子に対する単なる好奇から、自分のことを何もかも知っている得体の知れない存在への恐れへと。

なぜ恐れてしまうのか。本当の自分を出すことは許されないことだと、周りから抑圧し続けられ、いつしか自分自身もそう思うようになってしまっていたのでしょう。

良太の半生がどのようなものであったか詳細には語られません。しかし作中に出てきたずんだ団子とみたらし団子の話のように、「よく食べる」と「好き」は違うことなのに「よく食べる」ことによって「好き」であるように見せてきた、そんな半生なのであったと思います。

何を恐れる必要があるのか。良太は理想の女の子から気づかされます。そこからは一瞬で世界が色づくかのような圧巻の表現。人を狂わせるほど美しい桜が咲き誇る情景が目に浮かぶようでした。

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