あるがままへの再生
- ★★★ Excellent!!!
七五三を終え、八つ九つと過ぎ、“つ”が抜ける頃にはもう、よそ行きの自分が出来ている。
なりたい自分と、あるがままの自分とはひどく乖離していく。
豪放磊落、少しくらい汚れた服など気にもしないと振る舞ってみる。
でも自分らしく髪を風になびかせ、たおやかに駆け、まっさらのドレスをひるがえしてみたい。
自分探しと言いながら、自分を殺していく。
そうして出来た傷の代償を誰かに求め、がんじがらめになった自意識に悩む人は多いのでないか。
あの日、桜の樹の下に埋めてしまった者の顔を見に行こう。
自分探しでも自分殺しでもなく。
読めば桜咲く、自分還りの物語。