5 残すべきか。どのようにして? 迷う、最後まで。 

  五月二十四日・第二話を投稿してから五月二十六日まで。


「この創作論を削除せず残しておくなんて、苦痛だ」


 本当に身勝手ながら、そんな気持ちになってしまうのです。

 SNSなどでやらかしてしまった人が投稿を、あるいはアカウントごと削除してしまう心情がわかる気がします。


 けれどもとにかく、誤情報を受け取ってしまった方に訂正部分を読んでいただかなければならない。


 キャッチコピーで再読をお願いして、当初一話で完結していたものに二話目を追加し、ランキングや「注目の作品」に表示されていれば、もう一度読んでいただける機会はあるでしょう。

 

 当該の創作論が残っていることに不快感をいだかれるコメントもいただきました。


 ここでまた正直申し上げますと、「そんなつもりじゃなかったんだ」と弁明したい気持ちにもなりました。

 それもまた身勝手なことであり、今これを書いているのも潔くない、みっともない面があります。


 いかなるコメントであっても、同じように感じる多くの方を代表していただいたのだと、受け止めるしかありません。 


 やはり削除すべきか。

 自分で判断ができず、コメントへの返信で問う始末です。

 どのみち、すぐに削除はできません。


 結局、二十四日が金曜日であったため、土日を挟んだ二十七日(月)に削除することを一度は決心し、そのことを追記しました。


 ただ、それでなかったことにしたくはありませんでした。

 自分への戒めのために、なんらかの形で残しておくべきだ。

 そのために、このエッセイを書いています。


 私が大変興味深く読んでいる創作論・評論を書いている方からもコメントをいただきました。

 まったくやり取りのなかった方なのですが、厳しいお言葉と共に私の心情もくみ取りいただき、ありがたかったです。

 まさに“戒めのため”残すべきとご意見をいただきました。

 また、削除するか残すべきか、やらかしてしまった私が判断していいものなのかと迷っていることに対し、私が判断することが責任を取ることである、とお返事くださいました。


 削除する決断をしたあとも、まだまだ迷います。

 そもそもシステムの問題であって、創作論とは別の問題だ。

 それが削除する理由のひとつなのですが、削除したいがために無理やり作り出したのではないのか。

 エッセイ・ノンフィクションに書き残したところで、戒めになるのだろうか。


 削除するまで、あるいはエッセイを投稿するまで、小説の投稿は自粛するべきか。

 少ないながらも読んでくださる方がいる。

 どうするべきか、これも判断がつかない。


 結局小説のほうは下書きとしてほぼ完成しているエピソードだけ投稿しましたが、それ以上の作業をする気力が湧かない。

 それどころか、カクヨムにアクセスするのも億劫になってくる。


 またまた身勝手な心情を告白します。


「なんでこんな目にあわなければならないんだ」


 そんな気持ちがもたげてくるのです、信じられないことに。


 動揺しているころの自分になら、肩に手を添えてやりたいと思わなくもない。

 このころの自分のことは、もう殴る価値もない、とあきれるばかりです。




  五月二十七日。


 記事削除の日。


 前日に、最初に読んでくださった方から「たまたま今更新されていることに気付いた、しばらく削除しないほうがいい」とのコメントをいただいておりました。


 私は一度下した決断を覆し、削除の一週間延期を決めました。


 見苦しい。しかし、誤解をしたままの人がいてはいけない。

 

 ただしこれを本当に最後の決断にしよう。

 身勝手極まりない、被害者意識のような気持ちを振り払いました。

 

 記録のためのエッセイを書きながら、一週間を過ごします。

 



  六月三日。


 当該の記事は週間ランキング圏外となっております。

 もう今さら、人目に触れる機会は皆無とは言わないまでも……と考えるのは、これもやはり削除の正当化なのか。

 

 なんにせよ、これで終わりです。


 当該の創作論を選択、右上の“ツール”より、「この作品を削除」――。


 ……あ。


 その上に“一括非公開”「この作品の全エピソードを下書に変更」の項目がある。


 ここで削除したら、いくらエッセイに書き残したとしても、別物になってしまわないか。


 「最後の決断」すら覆し、私はそれを、非公開にしました。



終わりです。


―――


あとがきです。


読んでいただきありがとうございました。


創作論を非公開にしたあと、投稿予定であったこのエッセイも修正しました。

当初は淡々と顛末を綴っていたのですが、他者が読める状態で残すのに、なんの意味もないものとなっていると感じました。


それで、ほんの少しですがどんな人間がそれに至ったのか、そしてみっともない心情に陥ったことなどを追加して公開します。


この場で今一度、ご迷惑おかけした方々にお詫び申し上げます。


よい書き読みを。



 


 


 




 

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「創作論・評論」にて不正確な情報を拡散させたことの記録 松川 i @iMatsukawa

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