壺の中を覗く不思議と、壺の中から覗く不可解。

棒手振りの魚屋が売り歩く奇怪な魚。
まなこの無いその魚は、蕩けるように
美味であるという。
 噂が呼んだか、奇怪な魚を求める巷の
声は止まず、しかし評判に反するように
姿を見せなくなる魚屋。

…予想とは、多分全く 質 が違う。
いま、何某かの怪談を思い浮かべた事を
後悔する程の 異質 が。

忘れられない美味を求めて、漸く見つけた
魚屋の語る、世にも不可思議で不可解な
譚は、果たして理解の範疇に落とし込める
ものであろうか。

怪異とは、本来そのようなモノであると。