主人公の早坂日奈乃は念願かなって憧れの女学院に通うことになりました。
ですが、彼女は入学早々に悩みを抱えることに。彼女が悩みを抱えることになったのは、担任の先生からのこんな一言が原因。
「みなさんには、どんな夢がありますか? 将来なにかやりたいことはありますか? 今度みなさんの前で発表していただきますから、よく考えておいてください」
よくある質問の気もしますが、主人公の日奈乃には青天の霹靂。だって、彼女はこの女学院に通うことが目標で、夢は叶ったばかり。彼女には今、特にこれと言った夢がなかったのです。
困り果てた日奈乃は藁にもすがる気もちでどんな願いでも叶えると噂のチャペルへ足をむけるのですが……
女の子たちの関係がとにかく尊いです!
女学園で先輩と後輩が疑似的な姉と妹として暮らすすがた……美しいですよね!
疑似的とはいえ、家族みたいに親密な関係を築いていく少女たちのすがたに、すごくほっこりとしました。
主人公の日奈乃の冒頭の悩みである「わたしには夢がない」という悩みが解決していく様子もしっかりと描かれていて、日奈乃が新たな夢を見つける過程をみるのも、すごく読みごたえがありました♪
あなたには夢ってありますか?
自分は夢っていうのは、あったら素晴らしいけど、たとえ無くても、それはそれで問題なしと思っています。
ただそれでも、周りの子が将来の夢を持っていて、それを大いに語っていたら、どこか焦りが出てくるものかもしれません。
本作の主人公日奈乃も、そんな風に、夢が見つからなくて悩む、迷える子羊。
そんな彼女が藁にもすがる思いで頼ったのは、学校にあるチャペルでした。
実は彼女の通う私立フリージア女学院のチャペルにはある噂があって、放課後そこで祈りを捧げると、どんな願いでも叶うというもの。
けど具体的なものならともかく、夢が見つからないなんてフワッとしたもの、神様でもなんとかできるのか。
なんて思っていたら、そこで出会ったのは、神様でなく人間。とっても綺麗で、不思議な雰囲気を持つ先輩、美波でした。
美波はこのチャペルで、日々悩みを抱えた人たちの力になりたいと思い続けているのですが、そんな彼女に、しだいに惹かれ、憧れていく日奈乃。
チャペルという場所もあって、二人で話しお互いを知っていく様子は、どこか神聖な雰囲気を感じます。
運命的な出会いは、日奈乃をどう変えていくのか。
そしてこのチャペルは、二人の出会いで、どんな風に変わっていくのでしょうか?
女学院のすみに建てられた小さなチャペル。そのチャペルで放課後に祈りを捧げると、願いが叶うといわれていましたの。
救いを求めてチャペルを訪れたのは、夢が見つからない日奈乃でしたわ。いつもなら鍵がかけられている扉の先で、一年先輩の美波お姉様と運命的な出会いを果たすのですわ。
校内やチャペルでの美波お姉様とのやりとりは、天使と対話しているかのような荘厳でふつくしいものばかり。もはや結婚式だと錯覚してしまうほど、尊さで何度も溜息が出ますの。
悩みを抱えた来訪者のよりどころになろうと、献身的な愛を注ぐ美波お姉様。そんな美波お姉様の考えに、日奈乃は賛同していき――
チャペルクラブの活動に目が離せませんわ!
児童小説としてのクオリティは完璧。可愛らしいタッチの装丁や挿絵が目に浮かんできますもの。ほんのり百合風味の姉妹関係に、あなたも両手を合わせませんこと?