他愛ない会話、闇と一縷の光

地の文が少ない。
ほぼ会話で形成されている。
「今どきの小説だよね」
読み手は最初、そう思うかもしれない。
けれど、後半になってそれは間違いだったと知る。
いや、「知る」などと生易しい言葉で表すのは不適切だ。
「ほら、見てみろよ」と言わんばかりの作者の思いに、胸を貫かれることになるだろう。

あとがきには、厳しい言葉が並ぶ。
しかしそれは作者の温かい思いから書かれたものだ。
読んだ方には全て受け止めてもらいたいと思ってしまうのは、私のわがままだろうか。

危うく非公開になるところだったこの作品を高みまで掬い上げたいという思いを、このレビューコメントに託す。
もっと多くの人に読んでもらえますようにという願いを込めて。