靴下のあと

地の文が少ない。
ほぼ会話で構成されている。
「今どきの小説だよね」
読み手は最初、そう思うかもしれない。
けれど、後半になってそれは間違いだったと知る。
いや、「知る」などと生易しい言葉で表すのは不適切だ。
「ほら、見てみろよ」と言わんばかりの作者の思いに、胸を貫かれることになるだろう。

あとがきには、厳しい言葉が並ぶ。
しかしそれは作者の温かい思いから書かれたものだ。
読んだ方には全て受け止めてもらいたいと思ってしまうのは、私のわがままだろうか。

危うく非公開になるところだったこの作品を高みまで掬い上げたいという思いを、このレビューコメントに託す。
もっと多くの人に読んでもらえますよ…続きを読む

ごく短い中に
視点をひっくり返す仕掛けと
凝縮されたテーマが込められております

この揺さぶり様は、読者の見て見ぬふりを許しませんでした
ちょっとした違和感が納得に変わるとき
読み手の心に爪痕が残るでしょう

奇しくもこの作品は
間もなく親元の手に返されることになるらしいです

いわば『半額シール』が貼られたお総菜の状態

そうなってしまう前に
この作品に出会えなかったことが悲しく
こぼれ落ちる前に、出会えたことが嬉しく
そして、このカクヨム界隈には
そんな喪われる寸前の名作が、あと幾つあるのかと
恐怖さえ感じます