母の、躾ではなくて……!
崔 梨遙(再)
1話完結:2300字
先日、“母の躾”に関して書きました。武家の男としての躾、皆様のコメントも拝読しましたが、まあ、あれはあれで良かったのでしょう。今回は、躾ではない母の嫌だったところを書きます。嫌だった言動、行動、皆様はどう思われますか? 盛り上がりの無いお話ですが、お付き合いいただけましたら嬉しいです。
まず、小学生の時、まだ1~2年生でした。母は、同級生の佐々木君のお母さんと仲良くしていました。それで、僕に、
「佐々木君と遊びなさい!」
と言うのです。
この佐々木君というのが問題児でした。鍵が開いていれば、勝手に家に上がり込む。そして、勝手に冷蔵庫を開けて、中に入っている1リットルパックの牛乳や、1.5リットルのジュースをグラスに注がずに口をつけて飲む。そして、食事の時に来たかと思えば、
「なんで僕の分は無いの?」
と怒り出す。まあ、最低かつ最悪な男の子でした。ハッキリ言って、僕は大嫌いでした。一緒に遊ぶのが嫌過ぎました。
それに、クラスでは佐々木君は仲間はずれ。一緒に遊んでいたら、僕まで巻きこまれて仲間はずれになる危険もあったのです。それに、僕には他に遊びたい男の子達がいました。
それでも、母は、
「佐々木君と遊びなさい」
と、繰り返し言うのです。親から言われることに素直に従っていた僕でしたが、やがて僕は初めて母に反発しました。
「友達は、僕自身が選ぶ!」
と。それからは佐々木君を無視し続けました。3年生になって、ようやく違うクラスになってせいせいしたと思ったら、佐々木君は私立の学校に転校しました。この時、長期に渡り母に反発し続けました。母の言動に怒りました。
話が前後しますが、幼稚園の時のことを思い出しました。母の日に、300円の花を買って母に渡したことがあります。その時、僕の小遣いは月に千円でした。漫画の単行本が300円で帰る時代でした。花を受け取った母は、こう言いました。
「なんや、もっとええものが良かったわ」
僕は傷つきました。
「月に千円の小遣いで何が買えるねん?」
僕は数日、母と話をしませんでした。母が何を考えているのかわかりませんでした。
また、小学1~2年生の頃の話ですが、母の日に“肩叩き券:10分10枚綴り”を渡しました。すると、母は、
「これ全部使うわ。100分叩いてや」
と言い出しました。いやいや、長時間がしんどいから10分券で渡してるのに、まとめて使われたら10分にしている意味が無いでしょう? この時も、母が何を考えているのかわかりませんでした。
100分の肩叩き、しんどかったです。で、ようやく100分経って解放されたと思ったら母が言いました。
「あんまり気持ち良くなかったわ」
もう、“この人は何もわかってねーな!”と思いました。僕は無言で自分の部屋に入って寝ました。母は、いろいろ理解していないことが多かったと思います。
また、母はインテリぶる癖がありました。夏休みは、“夏休みの思い出”という作文を書かないといけないので、どこかに行かないといけませんでした。ところが、ウチは裕福ではありませんでした。そこで、母は科学館、大阪城、プラネタリウムなどに僕を行かせたのです。小学生らしくないインテリっぽさで勝負したかったのでしょう。ところが、僕のクラスには金持ちの息子がいました。ハワイに行っていました。
「科学館ではハワイに勝たれへんぞ!」
という思いをしました。まあ、そんなことでクラスメイトと競う気は無かったので、どうでもいいことでしたが。ちなみに、連れて行ってくれたのは父。病弱な母は家で寝ていました。どこかに連れて行ってくれるのはいつも父。母とどこかに行ったという思い出はありません。
母が僕をどこかに連れて行ってくれると思ったら、必ず母の友達の所でした。そこで、必ず言われます。
「おとなしくずっと正座していなさい」
正座、2~3時間。苦行でした。何かの修行だったのでしょうか? (笑)。勿論、母と母の友人の話が終わって帰る頃には足が痺れてスグには動けませんでした。だから、母と母の友人のところへ行くのは嫌でした。
小学6年生の時、夏休みにSF小説を書いていると、
「私小説の文学小説を書いてみろ」
と言われました。私小説? どこにも連れて行ってもらってないのに? 小学生の私小説なんて、おもしろいわけがない。困った僕は、夏風邪で病院に行った時、老人達の会話がちょっとおもしろかったので、その時のことを書きました。すると、
「こんなの文学じゃない!」
と言われました。
「当たり前やろ! 小学6年生が私小説なんか書けるか!」
えらく怒られましたが、流石に僕も反発しました。こんなことで小学6年生に真剣に怒る母親ってどうなんでしょう? 怒られたことに怒りました。
中学生になってからは、母の機嫌は良かったです。僕がトップクラスの成績だったからです。ただ、父は中学の時に学年1番の成績でしたが、母は全然トップクラスの成績ではなかったのです。母の方の遺伝子が強ければ、僕はトップクラスじゃなかったと思います。自分の中学の時の成績を棚に上げて、僕がトップクラスの成績なのを当たり前と言う母のことを、ますます“おかしい”と思いました。“自分の遺伝子のことを考えないのか?”と、不思議でした。
僕の両親は再婚同士で、兄姉で僕だけが母の子でした。兄と姉とは腹違いです。自分の子供が僕だけだからよくしてくれたこともありますが、自分の子供だから自分の思うように僕を操りたい! そう思っていたのかもしれません。
まだまだありますが、今回はここまでとさせていただきます。お付き合いいただき、ありがとうございました。
母の、躾ではなくて……! 崔 梨遙(再) @sairiyousai
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
参加中のコンテスト・自主企画
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます