第4話草の料理
フロレスは最近夢の中で食べた料理の再現にハマっている。その料理は見た目が美しく、今まで食べたことのないような味でフロレスはこの世界で一番美味しいものではないかと思うほどだ。それこそ料理に心奪われるほどに。
けれどフロレスが気になったのは料理ではなかった。料理に使われていた香草に興味をひかれてしまったのだ。
フロレスが普段提供している料理や食べてる料理は基本的に単純な料理が多く何か味を付けるとしても塩かワインしかなく食材の味に頼るような料理が多い。
もちろん香辛料や砂糖などもあるが高価なため特別な日でもない限り使わない。
なので料理に葉が使われていて、しかもそれが料理を美味しくするそう知った日からフロレスは止まらなかった。
まずお父さんに料理を教えてもらった。お父さんはフロレスから料理を教えて欲しいと言われ嬉しそうにしながら承諾してくれた。
次に香草探しだ。フロレスは日課である森林探索で香りの強い草を見つけては興奮しながら根っ子ごと引っこ抜いていった。ある程度集まったら宿屋へと帰り今回一番大切な現物を見せながらのお父さんへの説得が始まる
厨房の中で二人の人物が話し合いをしていた。一方は180cmはあるだろう大きな体に筋骨隆々とした逞しい体つきをしているフロレスとエレーナの父カザフだ。
もう一方は120cmほどの小さい体に女の子のような整った顔立ちに肩までかかる長い髪の毛一見可愛い女の子にみえる男の子のフロレスだ。
「ねえ、お父さんこの草を使って料理を作って」
そう言うフロレスは一刻も早く試したくて興奮している状態だ。
「なんだ急にどうした。何で草なんて使うんだ、味がおかしくなるだけだろ」
カザフ急に厨房にやってきて目をキラキラさせているフロレスを見てまた暴走してるんだと察した。
「いいから一回だけ一回だけでも良いから」
香草と料理に興奮しているフロレスは説明がいい加減でカザフも何で草を使うのか分からないでいた。
ただフロレスから「美味しくなるから」としか言われない。
カザフは暴走状態のフロレスをどうにかするためカザフは一度言われた通りに作ってみることにした。
作り始めるとフロレスからの指示は「おそらく」とか「たぶん」とか「こんな感じな気がする」だったりと適当すぎるものだった。カザフはどこからこんな変なことを思いつくんだろうと呆れるしかない。
結局一回だけのつもりが何回か作ることになってしまった。量が少し多くなってしまったのでカザフの妻のディアとエレーナも呼んで皆んなで食べることにした。
今回フロレス達が試作していたのは肉の香草焼きとサラダのドレッシングだ。
どちらもほとんど曖昧なフロレスの指示を受けてカザフが今までの経験を生かしてなんとか形にすることができた。
出来上がった最初はカザフも驚いていた。まず香りが違うのだいつもみたいに重いだけの肉のにおいじゃない、清涼感ある香りが鼻をくすぐってからパンチのある肉の香りがするのだ。
いつもの何倍も食欲をそそられる匂いだった。美味そうな匂いでよだれが止まらなかった。
それはディアやエレーナも同じのようで料理をだした途端驚いたようにカザフを見て、すぐにに肉へと手を伸ばしていた。
サラダの方もさっぱりしていて食べやすいと好評だった。
フロレスは天才なのかもしれないカザフはそう思いながらこれは客にも出せると考えすぐさまメニューへと加えた。
がんばれ双子譚(ふたごたん) @8_ma
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。がんばれ双子譚(ふたごたん)の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます