第3話趣味と夜の宿屋
フロレスは小走りで宿屋へと帰り肩に背負う籠と皮手袋を準備して森林のほうへとワクワクしたような顔で向かっていった。
森林の手前につくと周囲を確認しながら森林に入っていく。
森林に行くにあたってお父さんと決めたルールがある。「暗い部分には入らない必ず浅い場所だけにする」「必ず周囲に人がいることを確認する」「長く入りすぎない」この三つを守ることを条件に入ることを許可してもらった。
ここでの森林の暗い部分とは魔素が濃い地帯の事を言う。魔素が濃い地帯は魔素によって日光が少し遮られており周囲の風景をよく見ると少し暗くなっているのが分かる。
そこには狂暴化している魔獣や魔物が多く住み着いており冒険者や騎士など強い力を持っていないと生き残るのは不可能な場所である。
だからこそフロレスのお父さんは最初は森林に入ることは許可しなかった。けどフロレスはダメだと言われ続けてもめげなかった。
最終的に黙って行こうとしていたフロレスをお母さんが見つけて捕まえて話し合った結果お父さんのほうが折れた。
それでフロレスは5歳で条件付きだけど危ない森林に入っているのだ。
なので周囲の人はハラハラ、ドキドキしながらフロレスを見守っている。
そんな周りの視線なんか我関せずとばかりに周囲の花や変わった植物を観察しながらにやけているフロレス。観察しながらも食べれそうな山菜やキノコなどわかる範囲で取っては籠に入れていく。
時々好奇心で変わった匂いの植物だったりも入れていく。
そんなフロレスにとっての至福の時間を終えて宿屋へと帰る。
宿屋に着いたら早速仕事の再開だ。
お父さんに取ってきたものを見てもらい食べれるものとそうじゃないものを分ける。たまに好奇心で取ってきたものを見られて怒られる。
それが終わったらお客に出す料理の準備だ。食材の下処理をしてお客さんが多くなってきたら給仕の方をフロレスは手伝う。
フロレスはワクワクしながら周りを見渡す。当たりの客とはずれの客を見分けるためだ。
フロレスは宿屋の子供として毎日何十人のお客さんを観察するように見ていたそうしてるうちにいろんな疑問が出てきて自分なりの答えを出す。
そうしてると相手のことが分かるようになってきた。人にはいろんなタイプや状態があることがあることや人が考えそうなことなどそれらが自然とわかる。
そんなずば抜けた観察眼を使い危ない人と当たりの人を探す。危ない人を見つけたら元冒険者のお母さんに任せる。
しばらく仕事をしながら探していると当たりの人が入ってきた。
今回はこの都市に着いたばかりの商人だ。
目を付けた商人の所へと給仕しに行く。
すると商人の方から決まり文句である
「嬢ちゃん最近変わったことや面白いことはなかったかい?」を使ってくる。
よしかかったとフロレスは内心喜んだ。
そして無邪気な顔をしながら話す。
「最近面白いことあったよ」
「どんなことがあったんだい」
商人は優しそうな笑顔をしながら先を促す。
「友達が貧しい姿で教会に行って祈ってたら愛ある慈悲の心遣いでお恵みをもらえた話をしてくれたの。それで僕もお腹がすいてたからやってみようと思って貧しい姿で行ったのそしたら祈りの作法を間違えちゃって、近くにいた人に「あなたはうちの彷徨う子羊ではありません。出ていきなさい」っていわれて」
「ほう、大胆だな」
「その時思ったのやっぱり大いなる愛の慈悲もその場にあった作法で礼儀を尽くさないと恵まれることはないのだと」
それを聞いた商人は驚いた顔してがわずかに頬を引きつらせた。
フロレスは心の中で「よし決まった」っと大喜びしている。
今話してる人は商人だ。
彼らは普通の人がそれがどうしたんだという会話に真意を隠して話す生き物だ。
だから何気ない会話でも何か相手の情報を得ようと深読みしながら聞いてしまう。
そして商人は気づいてくれたのだこの直訳すると「情報が欲しいならお金か料理や酒を頼むかしてからにしろ」と意味を。
商人はいつの間にか顔をさっきと同じ優しい笑顔に戻しておりこう言った。
「子供だと思って侮っていたよ。商人失格だな、高いお酒と美味しい料理を追加で貰おう」
「あいよ」
フロレスの元気な声がよく響いた。
それから集めた情報を渡し、さらに隣国の神聖王国の情報で更にチップをたかった。
そんな夜を終えフロレスはエレーナと一緒の寝床のに入り寝るのであった。
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