いつかの××いまの××へ

白原 糸

宛なき手紙

淡雪あわゆきはいつの季節も部屋に降るスノードームのさわれない雪


さよならもおかえりもただ繰り返すいつか消えると知らないままに


えんやこら濁声響く夏空に笑うあなたを撮れば良かった


今もまたカメラ片手で思い出す遺影撮ってのあなたの声を。


満天の雲母うんもの夢を今も見る圧倒的な銀河のワルツ


そうだった。たまにあなたを夢に見る孫を抱きしめ笑っていたよ


夢の跡何も残らぬ夢の跡私の中で物語るだけ


レクイエム行く宛のない海鳴りは見知らぬ君を通りすぎてく


途切れては年を経てまた蘇る長い線路の車輪の音が


歩いてたあなたを冬がさらってく神様なんて、と呑み込む春


覚えてる? 問いかける度、過去が来る。君が名を呼ぶ過ぎ去りし日々


弾けてくラムネのようにしゅわしゅわと音なく消える小さな記憶


食べたいと指をさしたわたあめの行く末を案じる私


みずたまり逆さの街を眺めては焦がれど行けぬ幻の街


風が吹く潮騒満ちる稲の穂の揺れる黄金こがねの切り離せぬしゅ


いつかまた。おざなりにした約束が今の私を急き立てている


また来るね。手を振る度に覚悟する。いつかは来たる会えなくなる日


手を振って手を振り返し手を振って硝子一枚隔てた未来


どこまでも行けるときっと信じてたあなた不在の小さな家で


海鳴りが不意に聞こえるふるさとはエンドロールが常に流れる


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いつかの××いまの××へ 白原 糸 @io8sirohara

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