ベンチ居る君も知つたか自由をば捕虫網躱す蝉の背を見て

ベンチる君も知つたか自由をば

捕虫網ほちゅうあみかわす蝉の背を見て



季語は、捕虫網です。虫取り網のことです。


営業の仕事中か、それとも、就職活動中なのか。


きれいに磨かれた靴とは対照的に、疲れた表情をしている、若い人。


俺の真向かいのベンチに座る君。

元気な子どもの振り回す虫取り網が、蝉を狙うのを見ていた、君。


君は、そう。

その網を、ひらりとかわす蝉の背を、眩しそうに見つめていたね。


それから、背筋を伸ばして、立ち上がったんだ。


分かったのかい。


そうだ、君は、自由なんだよ。

飛んでいった、あの蝉みたいに。


自由に、羽ばたけばいいんだよ。


……俺? 


怪しい者じゃないよ。

職場の、遅めの昼休憩だよ。


この公園のキッチンカーのホットドッグ、旨いんだよ!

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第2回短歌・俳句コンテスト【短歌】一首部門『蝉』 豆ははこ @mahako

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