『はず王子~転生したら大好きな悪役令嬢を断罪する筈の王子だったので勿論婚約破棄せずに幸せになる所存~』は、乙女ゲーム転生ものの王道を踏まえつつも、独自の視点を加えた魅力的な作品です。推しキャラクターを断罪する運命に立ち向かうニッケル王子の奮闘は、読む人の心を掴み、ナーハルテの「冷酷な仮面の裏に隠された優しさ」に思わず応援の気持ちが湧いてきます。精霊獣「毛々(けけ)」との出会いは癒しをもたらすだけでなく、物語の重要な鍵を握る伏線として、大きな役割を果たしています。
前世の記憶を頼りに運命を変えようとするニッケルですが、現実の世界はゲーム通りには進まないという葛藤がリアルに描かれており、単なる「ご都合主義」に陥らない点が特に印象的です。学院生活での波乱万丈な試練や、庶民出身の聖女候補セレンとの交流が加わることで、物語に深みと多層的な楽しさが生まれています。
また、悪役令嬢ものとしての新たな視点に加え、ナーハルテの心の殻が少しずつ破られていく過程は微笑ましく、二人の絆が深まっていく様子に引き込まれること間違いありません。運命と愛の力を信じて進む彼らの未来がどのような展開を迎えるのか、続きが読みたくなる作品です。
丁寧に綴られた物語です。
現代を生きる女性が、乙女ゲーム世界に転生、王子さまとなって、大好きな筆頭公爵令嬢と一緒にすごす物語。
魅力は、主人公が優しく品が良い事。
主人公をとりまく人(や物)みな、あったかい事。
死んで転生、ではなく、とても納得いく形で転生する事。
主人公とヒロインの、お似合いで甘い雰囲気も魅力です。
(甘い雰囲気でも、いやらしくなりません。)
登場人物は多いですが、皆、魅力的です。
気品ある美しさのヒロイン、筆頭公爵令嬢。
剣が強く、ファンクラブのある凛としたイケメン令嬢、などなど……。
ニッケル第三王子のキャラも、愛着が湧きます。
世界観がしっかりして、作者さまの、キャラへの配慮、愛が行き届いていて、読んでいて、嫌な気分になる事がありません。
本作はタイトルから想像するものとは少しばかり異なります。というのも転生に至るまでのストーリーが壮大なのです。それこそ転生するなんてことを忘れてしまうくらいに。
序盤はキャラクターが多く存在するため、やや混乱するかもですけれど、そこは読み進めていく内に理解できますし、キャラクターたちの個性を知る上で重要なことであります。まあ、その理解が余計な驚きとなるのですけれど(笑)
内容は読んでいただき確認して欲しいと思います。予想できない転生が読者を待ち受けています。私と同じように「えええっ!?」と声を上げてしまう方も大勢いるかと思います。
本作は序盤で見切ってはならない作品です。より作品の深みへと浸かっていただきたく存じます。きっと貴方も驚くことでしょう。
お勧めの作品です!