第14話
ケビン兄は厚みのある大剣。トーマス兄はそれより短くて鋭利な剣を2本持ちで使っている。
僕は2人の連携攻撃を見るのが大大大好きなんだ!日本で見ていた戦闘物のアニメみたいで、とーーっても格好良いんだよ!
だから僕は2人の邪魔にならない様に、後ろから魔法とかを打ちたいな。
まあ、まだ魔法を覚えてないけどね。夢を持って目指すのは大事だって、シスターエマが言ってたもん!
それにアルマさんが魔法を使えるスキルを覚えてるから、この探索で見せて貰うんだ!そして僕も魔法を使える様になって、剣術のスキルも頑張って覚えて『魔法剣士』とか……考えただけで凄くカッコいい!
そんな妄想をしていたら、先行していた3人が息を潜めて、後方にいたアルマさんと僕に合図を送って来た。
『………ナツキも見えるか?あれがポクマンだ。』
レジンさんが指で示す方向をみると、レジンさんよりも大柄な人影が1つ見えた。
ただ、顔がどう見てもブタだった。それが二本足で立って歩いてる……。でもミッ◯ーもネズミだけど2本足で歩いてたし、お隣にいたポメラニアンのナナちゃんも2本足で歩いてたな、と自分の中でなんとか折り合いを付けた。
それにしても大きいな………。僕の倍以上は背が高い。それにあのお腹は?!テレンスさん(マリー姉さんの食堂店主)よりも絶対に大きいよ!
きっとポクマンは、それだけ美味しいご飯を食べてるって事だ!だからあんなにお腹がパツパツに膨れているんだ!
ポクマンはいったい何を食べてるんだ??
『アルマさん、ポクマンって何を食べる魔物なの?ハードマカダミアとかかな??』
僕は、ポクマンが太った原因を探るため、アルマさんにそう聞いた。
そうしたら、アルマさんは少し悲しそうな顔をして僕の頭を撫でながらゆっくりと話し始めた。
『………ナツキ、それを聞いたらあなたはきっとショックを受けると思う。だけど冒険者で活動して行く上では、避けては通れない事だから教えてあげるわ。落ち着いて聞いてね?ポクマンは雑食で何でも食べる魔物よ。でもね、その中でも大好物なのは“人間”。中でも子供や女性を狙う事が多いの。だから私達冒険者は、ポクマンを見つけたら出来るだけ狩る様にしているのよ。』
『……え……に、人間を食べるの?ウソでしょ?』
『本当よ。魔物からしたら私達はご馳走なのよ。ナツキも魔物のお肉を食べるでしょ?それは魔物も同じなの。』
『…………………。』
僕は、アルマさんの返答に物凄く驚いた。人間が食べられちゃうの?あのお腹は、誰かが食べられたせいで大きくなったの?!
あ………それってテレビで見た事があったかも…。“じゃくにくきょうしょく”って、パパが教えてくれた。弱い動物は強い動物に食べられちゃうんだって。
ポクマンは、その中でも子供と女の人を狙う悪い魔物なんだな。
……よし、決めたよ。僕もポクマンを倒す。倒せるようになるんだ!それにはレジンさんの教えてくれるポクマンの倒し方をしっかり勉強しなきゃ!
なっちゃんの異世界奮闘記 いずいし @isuzu15
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