第13話

 僕のうっかり木の実落としの後は、安全に考慮して、みんなで沢山のハードマカダミアの収穫をした。もう僕のリュックはハードマカダミでパンパンさ!


 美味しいけど殻が固くて割るのが大変だからって、ハードマカダミアの実を採る人は少ないんだって。


 こんなに美味しいのにもったいないよね?


 そして次は、ケビン兄達が待ちわびた、レジンさん達との狩りだ!


 ケビン兄が、ポクマン討伐のお手本を見せて欲しいとレジンさんにお願いして了解を貰えたから、初めてポクマンが居る森の西側へ進んで行った。



「ナツキはポクマンを見るのも初めてだよね?ポクマンって、人みたいに二本足で行動する魔物だよ。顔は全然人には見えないけど、二本足で歩いてるから、手に武器を持っている事があるんだ。だから攻撃行動自体は人間に近いと思ってね?」

「はーい、分かった!ねえトーマス兄、そのポクマンってお肉は食べられるの?」

「う〜〜〜ん……食べられるんだけどさ、その見た目から苦手って人も多いんだよ。僕は解体して肉になっちゃえば、みんな同じだと思うんだけどね?」

「トーマスはそう言う所が凄いよな。俺はアレは苦手だ。なんかやっぱり食うのは気持ち悪くて無理。」



 ふ〜ん。ケビン兄が好き嫌い言うなんて珍しいな。僕はどうだろう?もっと小さい時は、苦い野菜とかは嫌いだったけど、今では何でも食べれるよ!


 そんなお話をしながら森を歩けるのも、レジンさんとアルマさんに先導されているからだ。やっぱり冒険者の先輩がいると頼っちゃうな。でも、おしゃべりはココまでだね。


 2人の後に続いて西の森をどんどん進んで行く。


 色々なスキルを持っている2人からは、僕や兄達もたくさん学ぶことがあるって聞いた。


 森を探索する時には、敵を早く見付ける事や、気付かれずに移動する方法が必要。何度も何度も繰り返して行けば、それはスキルとなって僕たちを助けてくれるんだ。


 そう言えば、自分でスキルを見る方法を教えて貰ってから、僕も自分のスキルを確認してビックリしたよ。


 僕は『無能』だって聞いていたけど、おねえちゃんからは『5歳を迎えたらスキルを自分で確認しなさい。きっと生活に役立つスキルが出るはずだから。その時に何も無くても、なっちゃんの準備が出来たら出てくるはずよ。だから諦めないでね』ってカバンの中にお手紙が入ってた。


 そして5歳の時に初めて僕は自分のスキルを見たんだ。『コピー』、『鑑定』それと『精神耐性』、『飢餓耐性』の4つがあった。何も無いと思っていたから、とっても嬉しかったよ。


 でも、僕が意味を理解出来たのは『コピー』だけだった。ママが、ばあばにご飯のレシピを教えて欲しいってお願いするんだ。そうすると、ばあばは僕を連れてコンビニに行って、ノートをコピーした。


『ママがなっちゃんに他にも美味しいご飯を作れる様に、作り方をコピーして渡そうね!これはパパも好きなご飯だから、なっちゃんも気に入ってくれるとばあば嬉しいわ!』


 そう言って、美味しいご飯の作り方を書いたノートのコピーをママに渡してた。だからコピーすると美味しいご飯が出来るの?って、ばあばに聞いたんだ。


『コピーは色々な物を“写す”って事なのよ。紙とか音楽とか、なっちゃんが見ているアニメでもあるんじゃない?』


 そう教えてくれた。だからコピーだけはその時の僕でも分かったんだ。


 だから、その日から僕は何をコピー出来るのかな?って色々と試してみたんだ。


 はじめは、石ころをコピーしてみた。そしたらちゃんと出来たんだ!僕は嬉しくなって今度はジャガイモをコピーした。だって、どうせコピーするなら食べ物が良かったから。


 夢中になってコピーしていたら、知らない間に食材倉庫で眠っちゃったんだ。それをマリー姉さんに見つかって、目茶苦茶怒られたなぁ。


 そうやってコピーを続けていたら、いつの間にか今まで出来なかった物がコピー出来る様になっていたんだ。


 後のスキルは、孤児院で生活している内にいつの間にか増えてた。小さい頃からお手伝いを頑張ったおかげか、調理のスキルもちゃんと出ていたのは嬉しかった!まだ、ママの作ったからあげは再現出来ていないないけど…。


 あとは、ここに来たばかりの時にパパとママに会いたくて、会えなくて…ずっと我慢してたから、我慢するスキルが何個かあったよ。


 でも、それが無かったら、僕は今の僕じゃなかったかもしれない。きっとそのスキルは、ママの御守みたいに僕を守る為に神様がくれた御守なんだ…そう思った。


 

「さて、そろそろポクマンの出現エリアに入ったぞ。ケビン、トーマスは俺の後に続け。ナツキはアルマの側で見てろよ。」

「「「はい!」」」



 レジンさんの声掛けで、緊張感が高まる。僕は、攻撃手段としてのスキルがまだ『棒術』しか出ていない。


 調理や食べる事に、ほとんどの時間を使った事を考えれば、当たり前だよね。それでも、孤児院のみんなと冒険者ゴッコをしていたお陰で『棒術』のスキルだけは出ていた。


 剣は練習中で、きっとこれからスキルが出るはずだ!だから今は見学して、ポクマンとの戦い方を覚えよう!


 僕にも早く『剣術』のスキルが出てくれると嬉しいな。そうしたら、棒で獲物をダメにすることがもっと減ると思うんだ。




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