昔と今

「まああと1週間くらいは一緒だしさ!またよろしく頼むよ!なっなっせっくん!」

彼女は明らかに僕を罵った。腹が立つ。

「あ?」

「きゃーななせくんこわーいみことちゃん繊細だからぁ、泣いちゃうぞ??」

離れたくないとか考えてた自分にも腹が立つ。こんなやつとなんで離れたくなかったか不思議でどうすることも出来ない。

「あーもーいいですいいです早く席替えしましょういっその事今日とか」

「今日は無理でしょ放課後だし何言ってんの」

あーーーもうそういうことじゃない!そのくらい離れたいってこと!

「そーーーいうことじゃない言葉の綾!!」

そんなやり取りをしていると、彼女が幸せそうに笑った。

「…ふふ、七瀬楽しそうだね。私に話しかけられる前と比べたら別人だよ」

目が丸くなる。そんなこと考えたこともなかった。ただただうるさい隣の席のやつの相手をしているだけだと思っていたのに。

「やっぱり私は見る目があるなあー!どう七瀬、私に落とされてみない?」


「……は」

はあ!?誰がそんなこと!!

そう反論したかったが、いきなりのこと過ぎて声が詰まる。それは紛れもなく海琴の事が少なくとも嫌いでは無いから。…少なくとも。

「…ははっ、真っ赤笑

 そんな顔してると、襲っちゃうぞ?」

ああああもう!!

「そんな趣味はない!はい数学わかったね!じゃ僕はこれで!」

そそくさと帰る準備をして教室のドアを開ける。あれ、言いたいわけじゃないのに。別に言わなくてもいいのに

「また…明日」

ドアを閉める。海琴の顔を見れるほど正気を保てていなかった。なぜか…本当になぜか明日も学校に行くことがとても楽しみになっている。

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