海琴
「えっと…誰、ですか?」
いつまでたっても僕から視線を話さない彼女に向かって質問した。
「え!?」
彼女は過剰に反応した。まさかそんな質問をされるとは思っていなかったらしい。
「一昨日に席替えしたじゃん!君、ずっと下向いて周りも見ようとしないし、話しかけようにも話しかけれなかったんだからね!」
そんなの僕の勝手じゃんか、と思いながらもこんなににこやかに話してくれる人がいて嬉しい。
「ごめん、人見知りで」
「あー、人見知りよくないんだー!もしかしたら私みたいなめーっちゃいい子が周りにいるかもしれないのに!」
…なんだこの自意識過剰女は。どこからそんな自信が湧いてくるんだ羨ましい
「…あー誰がいい子だって?」
彼女は一瞬キョトンとした目で僕を見た。
「え、なに」
僕は怖くなって質問する
「いやー、そんな突っこんでくれるんだってびっくりしちゃって笑
君ノリいいとこあるんじゃん!なんか安心したー!」
彼女は僕のこと一体をどのように思ってたのか検討がつかない。うるさくて無駄に元気で鬱陶しい。
でも、他の人と話す時には感じられない安心感がある。何も否定されなく、ただただ会話を楽しんでいるような。そんな感覚。
「楽しそうだね」
「?うん!私はいつでもどこでも元気100パーセント!元気が取り柄の海琴ちゃん!」
「みこと?」
「うん、私みことっていうんだ。赤松海琴、よろしく!」
彼女はそう自己紹介をし握手を求めてきた。僕は特に何も考えず彼女の方に手を伸ばした。
「ほら君も!」
「え?」
握手はしたはずだ。他に何をすれと言っているんだ?
「相手が自己紹介したら自分もでしょ!君の名前は?」
ああ、そういうことか
「あー、僕の名前は、七瀬。鍵谷七瀬」
「七瀬よろしく!」
「声でか」
「あーごめんごめん笑
でも私に名前を覚えられたら覚悟しておいてよ。いつでもどこでも大声で話しかけに行くから」
「なにそれ迷惑」
「とくに七瀬は面白い返ししてくれるからいっぱい話しかけに行っちゃおうかなー私が来たからって嫌な顔しないでね!人見知り治すためにトレーニングしないと!」
僕は人見知りを治したいなんて一言も言っていないのに彼女は何故か僕よりもやる気に満ちている。はあ。
でも、どこかに楽しさもある。これからの学校生活が少し楽くなりそうだ。
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