第10話 打ち切り
霊に嫌われるという体質のせいで、余り現場に出られない分を、書類なり裏取りなりで貢献するために会社へ向かう。
普段は座る人間が居ないデスクに、一人の少女が座っていた。整った見目と不釣り合いな大きいスーツ、そして力強い眉と全てを台無しにする眉間のシワ。
「大沢課長?」
「なんだね?」
落ち着き過ぎている。間違い無く課長だ。
「どうしたんです?その姿」
「社長のせいだ」
爆速で事態が把握できた。
自分を失っても、自分を見失わない姿勢は尊敬に値するけど、間違ってもこんな人間にはなりたくないと思った。
「頭を撫でるのを止めたまえ。上司への態度ではないぞ」
社長が、『思ったより話が広がらなかった。今では反省している』と言ってたから、課長が割りを食ったみたいだ。
やはり、怪奇現象なんてものに、自分から頭を突っ込んでいくのは良くない事だと再確認することになった。
終
銭ゲバ科学者は怪奇現象から逃れられない きゅうひろ @itoukyuhiro
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます