古代ロマンへの探求心と、妹に重ねた少女への想いとをのせて


第一章までのレビューとなります。

主人公のアルは両親から多額の借金を背負わされてしまいます。家族は離散し、一人過酷にそれらを返済するため、危険を顧みず遺跡に眠るレアを求めて冒険する物語です。

遺跡に残された古代の高度文明は、我々の文明に匹敵、否――凌駕するほどの境地に至ろうとしているのでは……悠久の時を経て静謐に佇む古代は憧憬の的。
仕掛けられた罠や古代兵器の存在もとても魅力的です。
冒険に命を賭ける消えない炎に、好奇心が駆り立てられていくようです。

作家に必要なのは好奇心と言われますが、その心が少しでもある方には是非読んで頂きたいです。
廃墟や遺跡、太古の遺産などに興味をお持ちの方は、ほぼ間違いなくハマると思います。

また、本書で登場する魔法と銃とが融合した【魔導銃】を駆使した臨場感あふれる戦闘シーンにも興味が湧きます。こだわり抜かれたハイスペックデバイスも銃マニアには堪らないのではないでしょうか?
それを可能とする様式美も作者様の手腕なのでしょう。

そして遺跡で出会う少女――彼女に自身の妹を重ねる心情の変化に注目してください。
アルの変えられない追想と蟠る邪念を払拭したい克己心。それらがせめぎ合う相剋が痛い程伝わってくるだけでなく、現実と理想の乖離に絶望する心情とが、実にリアルに綴られています。
綿密に練られた物語の設定が、古代のロマンが、世界観が、繊細に且つ美しく紡がれて――読み手の心は大いに惹き寄せられることでしょう。

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