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よく考えれば、この身なりからして柚月の可能性は十分にある。こいつ、あのままで良いのに余計なことを…。
「すうっ、はぁーー」
私は取り敢えず呼吸を整え、微かな可能性に縋る。いや、落ち着け。
まだ柚月と決まった訳じゃない。
フードを深く被っているせいか顔が露わになっていないし、断定するのも良くないじゃないか。
「フード…」
「うん?」
「……その、フード。取って」
私は出来るだけ冷淡とした声で言い直す。
雰囲気で感じ取ったのか悪魔は凄い勢いでフードを内側へと掴み寄せた。
「いや、まぁ…」
顔が見えなくても綺麗な黄金色の瞳だけは絶え間なく揺れているのが確認できる。
悪魔は自分を落ち着かせるようにごほん、とわざとらしい咳払いをした。
「まぁ、落ち着け。犯人は事件現場に戻ってくる、とか言うだろう?学校に行ってはどうだ」
そんな言葉何処で覚えたんだ、とついツッコミを入れたくなる。
まぁでも、確かにその通りだ。
元々学校は休むつもりだったし、上手くいけば復讐の近回りが出来る。
「私の目的は柚月への復讐のみなんだからね」
決意を固まるように、私は一度自身に言い聞かせる。同時に悪魔の目は細まり、光を失った。
「犯人は柚月ではない。悪魔だ」
一瞬、耳を疑う。
柚月では無い?犯人が?
…違う。犯人は柚月だ。
私は確証を得ていた。
犯人は柚月だ、と。
「本当に犯人を柚月だと思っているのか?」
悪魔の声と共に一瞬、柚月では無い悪魔の姿をした″何か″を思い出し、思考が停止する。
「ふふん。我に着いてくれば分かることだ」
悪魔は自信満々に鼻を鳴らすと、廊下に足をつける。そして、着いてこいとばかりに黄金色の瞳を私に向けた。
″ライセ″に会いに。 夕月 亀太郎 @jpmgjtm
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