焼べるは己が心 象るは炎魔の化身 ソウルハート・ファイア

ぶっきらぼうで、しかし心優しく真っ直ぐな主人公
そんな彼が、あらゆる壁に直面し傷付きながらも仲間と共に泣いて笑って突き進んでゆく
まず、これだけで面白いですが……私が感じた話の骨子は以下の通り

望外の力を持ち、己の信念に殉じて全てを失った青年のお話であり、再生の記録

清濁併せ呑む、良いも悪いも受け入れるって言葉では簡単です
しかしそこから一切目を逸らすことなく、真っ向から立ち向かっていく姿
それは正義の決してなり損ねなどではなく、誰もが一度はそうした生き様を貫きたいと願う、人間の辿り着ける本当の強さでしょう

こう書くと堅苦しく感じさせてしまいますが、しかしながら本作は純粋にエンタメ小説としての完成度も非常に高い

主人公スルトの竹を割ったようなユーモアセンスやツッコミ、個性的かつ魅力的な登場人物との絡みにも緩急があり、読む手が止まりません
世界観の練り込み、伏線の張り方もワクワクさせてくれます

敢えて最後にしましたが、戦闘描写とメリハリの効かせかたも凄いですよ
この一点だけでもオススメです

年末年始、積読キャンペーンのお供に是非!

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