第2話 恋歌との約束、そして銭湯へ

パンケーキでの小さな騒動から数日後、小袖君は少しずつ村の生活に慣れ始めていた。しかし、彼の心の中にはまだ不安が残っていた。自分の魔術がこの平和な村にとって本当に役立つのか、それともただのトラブルメーカーになってしまうのか。


そんなある日、恋歌が小袖君を訪ねてきた。「ねえ、今日は一緒に銭湯に行かない? 村の人たちにもっと馴染むいい機会だよ。」


銭湯。それは小袖君がまだ足を踏み入れたことのない、この村のコミュニティの中心の一つだった。少し緊張しながらも、彼は恋歌の提案に同意した。


夕方、二人は銭湯へと向かった。途中、恋歌は村の人々と楽しく会話を交わし、小袖君を紹介する。彼女の自然な振る舞いが、小袖君の緊張を和らげた。


銭湯に到着すると、女将さんが暖かく迎えてくれた。「あら、新しい顔ね。ゆっくり湯に浸かって、疲れを癒してちょうだい。」


村の人々との交流、銭湯の温かい湯。小袖君は少しずつ、この村での生活に溶け込んでいく感覚を覚え始めていた。湯上りには、女将さんが出してくれた冷たい麦茶が、これまでにないほどの美味しさに感じられた。


その夜、恋歌と銭湯を後にするとき、小袖君は彼女に感謝の言葉を述べた。「今日はありがとう、恋歌。今日みたいな普通のことが、こんなにも新鮮に感じられるなんて思わなかったよ。」


恋歌はにっこり笑って、「いいのいいの、また一緒に行こうね!」と答えた。


その夜、小袖君は自分の部屋の窓から村を眺めながら考えた。魔術の力が村でどのように役立つかはまだわからない。でも、この温かい村での生活、そして恋歌との新しい絆に、彼は確かな喜びを感じていた。

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