第17話 犠牲の雨と小袖君の決断

春の暖かさが桃源郷を包む一方で、予期せぬ雨不足が村を襲った。農作物が次第に枯れ始め、村の生活に暗い影を落としていた。水源が減少し、村人たちの心配が日に日に大きくなる中、小袖君は重い決断を迫られた。


「雨を降らせる魔法を使うしかない。でも、その魔法は大きな力を必要とする…」と小袖君は恋歌とジーンに打ち明けた。彼の顔には決意とともに、少しの不安が浮かんでいた。


恋歌は心配そうに彼の手を握り、「大丈夫?その魔法は君にとって大きな負担になるんでしょ?」と尋ねた。小袖君はうなずき、「でも、これをしなければ村はもっと苦しむことになる。僕が何とかしなくちゃ」と答えた。


翌日、小袖君は村の広場に立ち、集まった村人たちの前で雨を降らせる儀式を始めた。彼は深く呼吸を整え、古代の言葉で呪文を唱え始めた。空は徐々に暗くなり、風が強まり、やがて小雨が降り始めた。


村人たちは歓声を上げたが、小袖君の体は明らかにその力を使い果たしていた。雨が強まるにつれて、彼はますます力を失っていった。恋歌とジーンが彼のそばに駆け寄り、支えた。


雨は一晩中降り続き、村の水不足は一時的に解消された。しかし、翌朝、小袖君は疲労でほとんど動けなくなっていた。恋歌は彼の看病をし、ジーンも彼のそばを離れなかった。


数日間、小袖君は力を回復するために安静にしていた。村人たちも、彼の健康を心配し、日々彼に感謝の言葉を送った。小袖君が少しずつ元気を取り戻すと、彼は窓から外を見て、緑豊かになった畑と村人たちの笑顔を見て安堵した。


「恋歌、ジーン、ありがとう。君たちがいてくれたから、乗り越えられたよ」と小袖君は感謝の言葉を述べた。恋歌は微笑みながら、「私たちはいつも君のそばにいるわ。一緒にいれば、どんな困難も乗り越えられる」と答えた。

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