第10話 魔法の花の祭り

夜の神社での誓いから数週間が過ぎ、小袖君と恋歌の計画は着々と進行していた。二人は村の至る所に「魔法の種」を蒔き、神社の周囲を中心に桃源郷を美しく彩ろうと心がけていた。そしてついに、魔法の花が咲き乱れるその日が訪れた。


秋も深まり、木々は色づき始めていたが、小袖君の魔法によって、村全体がさまざまな色と形の花で覆われた。朝日が昇ると同時に、一斉に咲き始めた魔法の花は、見る者すべてを驚かせ、喜ばせた。


「すごいね、小袖君!こんなに美しい景色は初めてだよ!」恋歌は興奮して彼の手を引き、一緒に花が咲き誇る道を歩いた。村人たちも家から出てきて、この奇跡のような景色に感動しながら、朝の散歩を楽しんでいた。


この日は、村で「魔法の花の祭り」と銘打ち、小袖君と恋歌の努力を称える祝賀会が開かれることになっていた。村の広場には食べ物の屋台が並び、生演奏が始まり、子どもたちは花々の中を駆け回った。


小袖君は人々の幸せそうな顔を見て、内心でほっと一息ついた。彼の魔法がこんなにも多くの人々を喜ばせることができて、自分の居場所がここにあることを改めて実感した。


夕方、祭りが一段落した頃、長老が小袖君と恋歌を前にして感謝の言葉を述べた。「小袖君、恋歌さん、二人のおかげで、今日は村全体が喜びに満ち溢れました。この美しい花々は、これからも私たちの心に残ることでしょう。」


その夜、小袖君と恋歌は改めて神社を訪れた。二人は手を取り合って、月明かりの下で静かに語り合った。小袖君は恋歌に向かって深く感謝の意を表し、「君の支えがあったから、今日のような日を迎えられた。これからも、一緒に村を美しくしていこう」と誓った。


恋歌もまた、彼の目を見つめながら「はい、私もそうしたいです。小袖君と一緒なら、どんなことでも乗り越えられる気がする」と答えた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る