第19話 決着

『自然魔力よ、雷となれ!!!!!! 死ね!!!』


 本当だ、ピンピンしている。

 絶対防御なんてあるのかな。

 あったら戦争で無敵だろう。

 連打だな。


 限界はあるだろう。

 念話で魔法を起こし何回も叩き込んだ。

 やがて、兵士が倒れ始めた。

 魔力が切れたのだな。

 そうに違いない。


 ほとんどの兵士が倒れるまで電撃を叩き込んだ。

 そして、ついに防御は崩れた。

 雷で黒焦げになる兵士。


 そして、軍は潰走した。

 一騎駆けてくる。

 偉そうな軍服を着ているから大将だろう。


「5番目の英雄と一騎打ちを所望する」


 受けるわけないだろ。


『死ね!!!』


 落馬したな。

 はいはい、死んだな。


『容赦ないな。5番目が裏社会出身なのは確定か』

『一騎打ちなんか受けてこっちに利はないものな』

『痺れる結末だぜ』

『姿を見せずに葬り去る。恰好良い』


 評判が落ちるかと思ったが、喝采の嵐だな。

 一騎打ちは冒険者じゃあり得ないか。

 喧嘩ならタイマンするけど、命を掛ける決闘を冒険者はしない。

 まあ、評判が落ちても問題ないが。


『油断しおって、目にもの見せてやる』


 敵の将軍みたいな人生きてた。

 念話を耐えたのか。

 やるな。

 まあ最大出力じゃないけど。


『死ね!!!!!!』


 やったか。


「ぐおおお、相打ちだ」


 不味い。


『自然魔力よ、土で固めろ!!!!!』


 ドームみたいな感じに固まった土が弾け飛んだ。

 地震が起きる。

 核兵器並みかな。

 恐ろしい物を出して来る。

 こんなの量産されたら勝てないぞ。


「師匠、凄い揺れでしたね」

「あの爆発を起こされたら、どうにもならない」

「思ったんですけど。師匠って自然の魔力を使えますよね」

「まあな」

「全て、支配下に置いたら、先手を打てるのでは」


 やってみるか。


『自然魔力よ、支配下に入れ!!!!!! 超爆発魔道具を起爆せよ!!!!!!』


 ええと、できた感触はあるんだけどな。

 敵国まで行ってみるわけにもいかない。

 そのうち、話がくるだろう。


 しばらくして、王都にいるファルから手紙が届いた。

 敵国の首都が壊滅したらしい。

 物凄い爆発で、隣の町から爆炎が見えたとある。


 危ない物を作るからだ。

 これでしばらく平和になるな。


「ラウド、今日こそは剣気で斬る技を教えてもらうわよ」

「といっても、実際にレベッタを斬るわけにはいかない。感覚が掴めないと実現できないだろう。俺は単に魔力を切り裂く力に変えているだけだ」

「天才はこれだから」


 天才じゃないけどな。


「師匠、電撃魔法はどうなっているんですか」

「そんなの知るか。炎を電撃に出来たりしないだろう」

「ええーっ、電撃、電撃、電撃ぃ」

「だだをこねても駄目だ」


「剣気で斬る奴、斬る奴、斬る奴ぅ」

「俺は師匠でなくてヒモ。そこんところ間違えないように」


「剣気で斬れたら一晩付き合ってもいいよ」

「私も電撃魔法ができたら、一晩と言わず、何日でも」


「知っているぞ、訓練で一晩付き合うって言うんだろ」

「てへっ♡」

「えへへ♡」


「可愛いのは似合わないぞ」

「乙女に言う言葉じゃない。責任とって技を教えて」

「そうです。責任を取って貰わないと」


 難題を押し付けるなよ。


「ラウ兄、ほんとうにヒモになってたのね」

「ララ、ミラも来たのか」


「お兄さんに言って、責任を取るように」

「こんな体にしておいて、責任とってくれないなんてあんまりです」


「ラウ兄、最低」

「くっ、分かったよ。納得いくまで付き合ってやる」

「言質取った」

「約束ですよ」


 レベッタとカンナの腐れ縁はまだまだ続くらしい。

 ところで技をどうやったらできるのかな。

 このまま出来ないと、ララとミラに告げ口されそうだ。

 冒険者からの悪評は堪えないが、妹からは堪える。


 俺のスキルは念話で、ヒモなんだけど、どうしてこうなった。

 隠居しようかな。

 金はあるし。

 でも、レベッタとカンナは押し掛けてきそうだ。

 とほほ。

――――――――――――――――――――――――

 コンテストは中編なのでここで完結です。

 ☆の数とかが少し悔しい結果だったので、改訂して出直そうと思います

 やっぱり、ざまぁがないと駄目ですかね。

 出直す時に考えたいです。

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5英雄で最強と言われている姿なき英雄はヒモに擬態する~大きな声の念話は立派な精神攻撃です。聞くことで魔道具の修理もでき、魔法に干渉だってできます~ 喰寝丸太 @455834

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