第18話 戦い

 ゴブリンの集団が押し寄せてきた。

 やはり来ると思ってた。

 魔法と矢を城壁の上から降らせる。

 あと石も。


 ゴブリンは梯子を繰り出してきた。

 やはり人間が黒幕だな。


『死ね!!!』


 念話を叩き込む。

 だがゴブリンは死なない。

 あの魔道具を装備しているな。

 もっと前に殺しておくべきだったか。

 いいや、たぶん何匹か殺したら魔道具を起動されていただろう。

 まあいい。


『自然魔力よ、火の海を起こせ!!!』


 城壁の下は火の海だ。

 ゴブリンが次々に焼け死ぬ。

 この調子なら良いのだが。


 遠くからのっそりとオーガが現れた。

 オーガは退治してなかったのか。

 テイムしたんだな。

 オーガはゴブリンを掴むと投げ始めた。


 ゴブリンを弾として使ったわけじゃないよな。

 ゴブリンはふんわりと着地した。

 魔道具を装備していたのだな。


 オーガの一体が火の海を構わず、城壁に近づいてパンチ。

 城壁が揺れた。


『自然魔力よ、大火球を作れ!!!』


 オーガは大火球を避けた。

 くそっ、ちょこまかと。

 2匹のオーガが城壁を壊し始めた。

 2箇所は対処できない。


 城壁の内側では、落ちてくるゴブリンを殺すので手一杯だ。

 オーガを退治する余裕はない。


 どうする。


『自然魔力よ、雷となれ!!!!!!』


 オーガに雷を落とした。

 オーガが叫ぶ。

 雷を食らったオーガは一瞬動きが止まったが、すぐに動き始めた。

 だが首輪が壊れている。

 もしかして。


『死ね!!!』


 オーガは死んだ。

 念防御の魔道具が壊れたらしい。


『自然魔力よ、雷となれ!!!!!! 死ね!!!』


 もう一匹のオーガに雷を落として、念話で殺した。

 だが城壁は壊された。

 少し遅かった。


『自然魔力よ、雷となれ!!!!!! 死ね!!!』


 念話防御の魔道具が壊せるなら問題ない。

 ゴブリンの大軍を殺した。


 よし、外は大体片付いた。

 雷が有効だと分かっていればもっと効率よくできたのに。


 俺は城壁から飛び降りた。


『自然魔力よ、風のクッションになれ!!!』


 風が柔らかく俺を受け止める。


『自然魔力よ、雷となれ!!!!!! 死ね!!!』


 走りながら念話を駆使する。

 もう向かう所敵なしだ。


 後衛のオーガが射程に入った。


『自然魔力よ、雷となれ!!!!!! 死ね!!!』


 後衛のオーガもやっつけた。

 よし、あとの残党は冒険者達がなんとかするだろう。

 ええと、ヒモとして落ちをつけないとな。


 風の魔法で大跳躍。

 街に入った。

 そしてヒモのラウドになる。


「レベッタ、カンナ、頑張っているな。俺の為に働いてくれよ。ひいっ」


 俺はわざとらしくゴブリンから逃げ回った。

 レベッタが剣を一閃。

 ゴブリンを両断した。


「もう、邪魔だから、宿で震えてなよ」

「そうそう、邪魔です」


「俺だって役に立つ。えいえい」


 怪我をしているゴブリンに短剣を突き刺した。


「ひでえ、弱い奴には無敵かよ」

「ヒモだからな」

「あーあ、また逃げて女に助けられている」

「おっ、怪我したゴブリンと互角になったぞ」


「ひぃ、助けて」

「はいはい」


「本当に情けないな。ああはなりたくないぜ」

「5番目の雷は凄かったな」

「ああ、鼓膜が破れるかと思ったぜ」

「お前ら話ながら余裕だな」

「Cランクの俺達にとってゴブリンなんて蟻んこだよ」

「ちげえねぇ」


「助けて、5番目様」


「おいおい、英雄様に助けを求めたぜ」

「どうなるかな」


『自然魔力よ、電撃になれ!!!』


 魔道具は壊れたかな。


「おお、ビリっと来たぜ」

「何だ」

「雷の余波が遅れてきたのか」


『死ね!!!』


 ゴブリンが一斉に死んだ。


「5番目の即死魔法だ」

「初めて見たが壮観だな」

「スカッとしたぜ」


「いま死んだゴブリンは全部俺の物だ」


「あいつ、横取りするつもりか」

「どういう権利があってだ」


「あの即死魔法は俺が使った」


「へっ、何だって」


「違うと証明できるならしてみろ」


「こいつ5番目様が名乗り出ないと思って」


「俺の獲物を横取りするなよ。レベッタ、カンナ、ゴブリンから魔石を集めるぞ」

「もう人使いが荒いのね」

「ですです」


「たくさん儲けたら、そのぶん夜可愛がってやる」

「期待してる。汗を流しましょう」

「ビリビリ感じさせてね」


 ええと、レベッタは模擬戦ね。

 新技とか教えてとか言ってくるのだろうな。

 新技ねぇ、剣気で斬れないかな。

 うん、魔力なら切り裂く力に変換できそうだ。

 俺もそんな技があったら、オーガを両断できてもっと楽にやれたかも。

 考えてみる価値はある。


 カンナは電撃魔法か。

 火魔法なのに電撃を起こしたいのか。

 無茶を言いやがる。

 そう簡単にスキルの壁は破れない。

 石を火に変えるのはスキルがあるから出来るけど、火を電撃に変えるのは難しいな。


 うん、まあなんとかなるだろう。


「大変だ。人間の大軍がきている。試しに魔法を降らせたが、効果がない。石や矢も効かない」


 くそっ、魔法対策してきやがった。

 本隊が登場というわけか。

 消耗戦のつもりなんだろうな。


 でも俺は魔力無限だ。

 まだ戦える。

 ただ、ここで5番目の英雄を再登場はちと恰好悪い。

 魔法無効の物理無効ね。

 切り札を切ったんだろうな。

 さてどうするか。

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