終わりに
と、いうわけで、このエッセイはこれをもって一段落である。
気付いたら30話近く、実に6万字以上を費やしてしまった。
いかがだっただろうか。
思ったより地味だな、と思ったそこのあなた。
多分その感覚は正しい。
私も受賞してみて思ったが、特段派手なことなどない。
多分受賞からド派手に色々あるのは、それこそこのミス大賞のような、高額賞金&広告宣伝費ガンガンの賞くらいだろう。
エッセイの最後に、私から、特に公募に挑戦中の読者の方へ、言っておきたいことがいくつかある。
まず一つ目、これは本当にあちこちで散々言われていることだが、受賞を最終目標にしない方がいい。
これを書いている今現在、私は2作目のためにひいひい言いながら、公募挑戦中と大して変わらない生活をしている。
だいたいにして、新人作家なんていうものは、プロットを書き、編集部からのOKを首を長くして待ちながらまた執筆に孤独に勤しむしかないのだ。
編集部から「次はこれを書いてください」とか「先生、まだですか」なんて言ってくるのは、もっと立場が固まった作家の話である。
……そうだよね? 私だけじゃないよね? この状況。
故に、受賞したからといって何も変わることなく、またひとり延々と原稿に向かう作業が待っているのだ。
私もまた夢の途中であり、この先どうなるかなど全く光が見えていない。
受賞は通過点であり、ゴールではないのだ。
そしてもう一つ。
特にミステリを書いてる方は、是非福ミスにも挑戦してみてほしい。
これは私が贔屓にしているから、というのも勿論あるのだが、受賞確率という点でもかなり有力だからである。
考えてみて欲しい。
60分の1の確率で書籍化確約の文学賞が他にあるだろうか。
ミステリというジャンル、それも他のミステリの賞より本格派であるという点で、どうしてもハードルが高く感じる人も多いだろうが、過去の受賞作を見ていても決して凝ったトリックが必須の賞ではない。
ホワイダニットで成立している作品も多いし、現に私の赤の女王もメインのトリック自体はそこまで複雑なものではなかった。
本格ミステリの肝は、「凝ったトリック」ではなく「魅力的な謎と論理的な解決」である。
物書きの皆様、是非ご一考を。
福ミスを一緒に盛り上げてみませんか。
最後に、私麻根が、これからどういう道をたどるか、それは誰にもわからない。
もしかすると来年の今頃にはすっかり文壇から姿を消しているかもしれない。
もし再来年の乱歩賞の二次選考落ち辺りに麻根の名前を見かけたら、「ああ、そういうことね」と察していただきたい。
そしてもし、無事に2作目、3作目を上梓することができたら、エッセイを読んでいただいたよしみで、是非手に取っていただけると幸甚である。
以上、これにておしまい。
最後までお付き合いいただいた方には特大の感謝を。
麻根重次
作家になった麻根 ー公募挑戦からデビューまでの備忘録ー 麻根重次 @Habard
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