一風変わった名前のカクテル。その味を知るのは……。

 初めてレビューする作品だった。(当たり前だのクラッカーとか冒頭でふざけつつ、クラッカーをカクテルのおつまみ代わりにでもしながらお読みくださいませ。しかし、この人は一体冒頭から何を書いているんでしょうか……。)
 ペンギン・カクテル……気になる。やはり、この雰囲気は好きだ。シャカシャカとシェイカーが小気味良い音を立てながら、カクテルが出来上がるのを待つ。その間にクラッカーをつまむ。程よい塩加減が最高じゃないか。おっと、そんなことを言っていたらどうやら出来上がったようだ。どれどれ……。ん⁉ ペンギン⁉
 気持ちよさそうに泳いでいるが、多分、現在進行形で私の目も泳いでいる。いや、飲んで良いかを聞くのは普通ならおかしいと思われるかもしれない。でも冷静になってほしい。白つながりということでビシソワーズ(ジャガイモの冷製スープ)のように、冷静になってほしい。……だめだ、素面なはずなのに、カクテルの中にペンギンが浮かんでいるという光景に、タイプしている文章が大変おかしなことになっている。……おかしなことと言えば。ペンギンが、飲んでいるのだ。カクテルを。いや、私もこのわけのわからない状況に完全に飲まれていることは認めざるを得ないのだけれど、ペンギンがカクテルを飲んでいるという状況をどう飲み込めば良いのか全く分からない。そろそろ、クラッカーに奪われた水分を口内が「まだか」と必死に欲しがっている。いや、わかっている。分かっているんだけど。ほんのりと上気したペンギンを見ているうちに、とうとう飲み干してしまった。そして、そのまま寝てしまった。なんて可愛いんだ……。
 結局、ペンギンにカクテルを奢る形になってしまったけれど、これは「あちらのお客様からです」のように表現するには、どうすれば良いのか素面な私は真剣に考え始めた。
 立つ鳥跡を濁さずか。素晴らしい。
 何はともあれ、ペンギンカクテルの味はわからずじまい。そんな感じで店じまい、ならぬこの感想をしまいたいと思うのだけれど。でもその前に、とりあえず自販機で水でも買っていこう。喉がカラッカラなんだ。