心の声を覗く者

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第1話

 彼は女子たちからの注目を浴び、その容姿や魅力によって多くの心を掴んできた。しかし、その一方で、彼は他人の心を理解することができない最低の男として振り向けられることもあった。


 そんな彼にとっての転機は、ある日の出来事だった。彼が尊敬する生徒会長であるヒロインに出会ったことで、彼の人生は大きく変わることになる。彼は彼女の姿を尊敬し、彼女の行動をこっそりと観察することで、人の心を察することの重要性を学ぶ。


 彼は自らが失敗を繰り返し、会話をうまくできるような生徒会長のようになりたいと願っていた。そして、その願いを叶えるために、魔法のメガネを手に入れることを決意する。そのメガネは、心の声が漫画の吹き出し台詞のように見えるという驚異的な力を持っていた。


 彼はそのメガネをかけることで、他人の本音を知ることができるようになった。そのことで彼は傷つくこともあったが、自分が他人を傷つけるよりはマシだと思い、メガネを掛け続けることを決意する。


 そしてある日、彼は生徒会長の心を覗き見ることで、彼女の優しさや悩みを知ることになる。しかし、その行動が生徒会長のプライバシーに侵入してしまい、彼は罰として彼女の仕事の手伝いをすることになる。


 彼は生徒会長の弱点を知り、その悩みを解決するためにメガネの力を使う。彼女は常に他人のために尽くす生徒会長として忙しくしていたが、彼女もまた自分の弱さを抱えていた。


 そして、彼女は彼の言葉に感動し、彼のことを好きになってしまう。彼はただ彼女の気持ちを覗けるだけで良かったはずなのに、そのまま彼女と付き合うことになってしまう。



 ◆



 主人公は人の心を理解することが苦手ながらも、その事実を隠して生活していた。彼が尊敬するヒロインは、常に周りの人々の気持ちを察し、彼女の目には主人公の本音も容易く読み取られてしまう。


 彼は内心で自分の行為が正当化できないことを知りつつも、ヒロインに会いに行く決意を固める。しかし、彼女が生徒会長としての責務に追われている姿を目にすると、彼は自分が彼女の仕事に協力する必要があることを理解し、罪悪感を抱きながらも仕事を手伝うことに決める。


 彼はうまくやり過ごし、生徒会長の任期が終了した後、彼女と別れることを決意する。初めは彼は浮かれ、彼女の悩みを解決し、彼女が望む恋人らしい振る舞いをすることに喜びを感じていた。


 しかし、彼の用意周到さやピンポイントな行動が度々彼女の疑念を呼び起こし、彼はその度に彼女に疑われることになる。彼は自らを甘やかし、吹き出しの台詞をなぞることでうまくやれると考えていたが、それが逆に彼女の疑念を深めてしまうことになる。


 そして、彼女が最後に着手したのが密輸の一斉摘発であった。



 ◆



 生徒会長の手に、密輸業者の取引先リストが渡った。取引品リストには魔道具が含まれていたため、ヒロインは学校全体に厳戒態勢を敷くよう風紀委員に指示する忙しさだった。


 ふたりきりになったとき、主人公の過去がバレてしまう。ヒロインが主人公に何を取引したか尋ねるが、主人公はメガネを使って取引品の多くがいかがわしい本だと勘違いし、逆に罪悪感に苛まれる。


 取引先リストには取引内容が書かれておらず、取引品リストにも取引先が明記されていなかった。そこで、風紀委員会は関係者全員を逮捕し、取引品を押収することを決定する。主人公も風紀委員会の協力を要請されるが、彼は自身のメガネの秘密がばれることを恐れていた。


 そのため、彼はヒロインに別れを告げる決意をする。彼は自分の行動がヒロインの地位を危うくすることを悟り、逃げるよりも直視することを選んだ。


 しかし、その選択が彼を新たな困難に直面させることになる。謎の人物に助けられるが、その人物は主人公にメガネを売ったブローカーだった。彼は主人公に復讐し、彼を使い走りとして雇う。


 最後の戦いの中で、主人公は真実を告白する。彼はメガネを使って多くの問題を解決してきたが、そのことがバレることを恐れていた。


 魔女が登場し、メガネを取り返して去っていった後、主人公は自首する決意をする。しかし、ヒロインは彼を引き止め、彼の真の姿を理解し、彼を許す。彼女の言葉に心を打たれた主人公は、自分が持つ過ちを悔いる。



 ◆




 学園の法廷で、主人公は生徒会のメンバーたちの前で裁判にかけられることになった。魔道具を使用して人の心を覗き見たことは非難されたが、主人公はその力を悪用することはなく、むしろ生徒会の業務を円滑に進め、密輸業者を逮捕する手助けをしたことを主張する。


 裁判では、ブローカーが盲目の主人公以外にもいたことや、主人公が行った功績や助けた人々の証言が明らかにされる。人々は魔法使いや魔女に対しては力及ばず、接触を避けるようにと警告されるが、主人公の罪に対する軽い処分に疑問を抱く者もいた。


 法廷の外で、ヒロインと再会した主人公は彼女の涙を見て心が温かくなる。主人公が謝ると、ヒロインは「いま私はなにを考えてると思う?」と尋ね、主人公は彼女の気持ちを感じながら「たこ焼き食べたい?」と答える。ヒロインは笑いながら否定し、寮に帰る時間が近づく中、主人公は彼女の悲しげな表情を見て、彼女を元気づけるために夕焼けを見に行こうと提案する。


 明るい顔を見せるヒロインに手を差し伸べると、彼女は喜んで主人公の手を取る。二人は夕日を見ながら、新たなる一歩を踏み出す。

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