それは――禁断の共依存関係。


 決して手を出してはならない植物に、手を出した。

 その行為がどんな結末を招くのか、重々理解した上でだ。

 でも、後悔なんてしていないよ。

 僕の求めていたものが、そこにはあったから。




 この作品の魅力は、まさに「魔的である」としか言いようがない。

 主人公の僕は、その魔に惹き込まれ、抵抗もなく溺れ、堕ちていく。

 その一部始終を読者は眺めるわけだが、不思議なことに「ゆっくりと身体をそっちへ預けたくなる」誘惑に駆られるのだ。

 その先が取り返しのつかない場所であっても――いや、ひょっとして、取り返しがつかないからこそ――委ねたくなるのかもしれない。

 何という狡猾な手法だろう。

 強烈な誘引剤に見事にホイホイされたゴキブリの気分だ。